2019.12
電力業界の信頼回復に向けた
取り組みについて
関西電力における金品受け取り問題につきましては、私ども電気事業連合会としても大変重く受け止めており、電力業界におけるコンプライアンスの徹底に向けた不断の取り組みを検討・実施していくことを目的として、電力各社の社長が参加する総合政策委員会において、2019年10月18日付で「企業倫理等委員会」(以下、委員会)を設置いたしました。
同日開催した第1回委員会では、今回の問題に関連した各社の調査結果や今後の対応について情報を共有するとともに、コンプライアンスの徹底について改めて確認しました。
11月15日には第2回委員会を開催し、各社のコンプライアンスに関わる社内委員会などの開催状況や検討状況を確認しました。また、新たに社外委員として招聘した、裁判官出身の原田國男弁護士より、過去に第三者委員として調査に携わられた事例から得られた教訓や、コンプライアンス体制が真に機能するシステム構築の重要性などについて、専門的なご見識に基づく講話をいただき、意見交換を行いました。12月13日には第3回委員会を開催し、関西電力や中部電力が新たに公表した「規定」や「ガイドライン」の内容に加え、他業種の複数企業におけるコンプライアンスの取り組みなどを共有しました。
今後も他業界の好事例や社外有識者からの専門的な知見、関西電力における第三者委員会の検証から見えてきた課題への対応も踏まえた体制や行動指針の改善など、コンプライアンスの徹底に向けた不断の取り組みを継続して進めていくことについて、トップ同士で改めて確認しております。
電力各社のトップがしっかりとコミットしながら、ベストプラクティスを各社の取り組みへとフィードバックしていくため、引き続き、毎月1度委員会を開催し、電力業界が一丸となってコンプライアンスの徹底に真摯かつ不断に取り組むことを通じて、電気事業や原子力発電に対する社会の皆さまからの信頼の回復に努めてまいる所存です。

企業倫理等委員会の設置を発表する勝野電事連会長 提供:電気新聞
台風被害踏まえ電力レジリエンス強化
国のワーキンググループで検証
今秋に相次いで上陸した台風は、風雨や河川の氾濫などにより、大規模な被害を引き起こしました。東日本を中心に広い範囲で停電が発生し、お客さまに大変なご迷惑とご不便をお掛けしましたことを、あらためて深くお詫びいたします。こうした事態を受け、国の「電力レジリエンスワーキンググループ(WG)」では、電力レジリエンスの強化に向けた検証を行い、10月末に中間論点整理をまとめました。
様々な観点から検討
電力レジリエンスWGは、10月に3回開催され、9月に上陸した台風15号で千葉県内の停電が長期化した原因や、台風15号と10月の台風19号の際の停電復旧状況、電力設備の被害状況などについて、有識者による検証が行われました。2018年に発生した西日本豪雨などの自然災害を踏まえて電力各社が取り組んできた「電力会社間の迅速な応援派遣」や「停電復旧見通しに関する情報発信」などの実績についても、確認が行われました。
これらの検証結果に基づいて取りまとめられた中間論点整理には、「迅速な情報収集・発信」「関係者の連携強化」「電力ネットワークの強靭化」など様々な観点からの今後の検討事項が盛り込まれました。

台風15号の停電復旧などを検証した電力レジリエンスWG 提供:電気新聞
引き続き対策を議論
台風15号の停電復旧では被害状況の把握に時間を要したため、巡視の効率化に向けたカメラ付きドローンやヘリなどの活用拡大、情報の一元管理のためのシステムの導入を検討する方針が示されました。現場情報が不足した場合に備え、ビッグデータや衛星画像、AI(人工知能)などを用いた被害・復旧予測を行うための技術開発の必要性も指摘されました。
電力各社の連携によるプッシュ型の電源車派遣は今回の停電復旧にも効果を発揮しましたが、さらなる派遣迅速化・効率化に向け、一元的な電源車管理システムの構築などについても今後検討を深めるとされました。災害復旧費用の相互扶助や、電源車の燃料確保のための石油会社との連携強化などについても、制度の検討に着手することにしました。
ほかにも、自治体・自衛隊との連携を通じた倒木処理・伐採の迅速化、送配電網の強靭化・スマート化など、検討事項は多岐にわたっています。
私ども電気事業者としても、引き続き、電力会社間でしっかりと協力し、お客さまに安定した電気をお届けできるよう全力で取り組むとともに、今後の電力レジリエンスWGでの議論や、関連する他の審議会などの検証結果も踏まえ、安定供給や停電の早期復旧に資する取り組みを強化してまいります。
「即位礼正殿の儀」で東電が特別対策本部
当日の電力安定供給へ万全の態勢を敷く
天皇陛下が自らの即位を内外に宣言される「即位礼正殿の儀」が10月22日、皇居・宮殿で行われました。この日、東京電力グループは特別態勢を敷き、式典への電力安定供給に万全を期しました。厳かな儀式を陰ながら支える取り組みをご紹介いたします。
情報連携しっかりと
東京電力グループは儀式の前に設備の巡視を行い、万一のトラブルに備えた上で、即位礼正殿の儀の当日を迎えました。
儀式開始の予定時刻は午後1時。東京電力グループは、2時間前の午前11時から儀式終了後の午後3時にかけて特別態勢を敷き、対応しました。東京・内幸町の本社には特別対策本部が設置され、現場の設備を所管する銀座支社や、電力系統を制御している給電所などとの間をテレビ会議システムで結び、本社と現場がしっかりと情報連携できる態勢を整えました。万一トラブルが起きた場合には、何分以内にどういう情報を本部内で共有し、どういう対応をとるか、事前にタイムチャートを準備して備えました。また、社内だけでなく、経済産業省や宮内庁など関係各所とも連絡を取れるように態勢を整え、ツイッターやホームページを通じた積極的な情報発信のための準備も行いました。

儀式当日に設置された特別対策本部の様子
感謝の声が原動力に
特別態勢の開始時にはブリーフィングを行い、特別対策本部副本部長の塩川和幸・東京電力パワーグリッド技監があいさつ。テレビ会議システムを通じ、「来年の東京五輪・パラリンピックも見据え、ぜひ緊張感を持って取り組んでほしい」と現場に呼び掛けました。
ブリーフィングでは引き続き、当日の気象状況や、現場の要員・態勢が万全かどうかをあらためて確認。その後は、式典に何か異常がないかをテレビ中継などで見守りながら、万一の事態に備えました。
こうした地道な取り組みは、なかなか一般の方々の目に触れることはありません。それでも、電力供給の現場は高い士気を持って仕事に取り組んでいます。樫村信秀・東京電力パワーグリッド業務統括室副室長(防災担当)に話を伺うと、「我々の黒子に徹した取り組みに対して、現場でお客さまから感謝の声を掛けて頂いたり、お手紙を頂戴したりすることもあります。そうしたことが誇りを持って仕事をする原動力になっています」と力強い答えが返ってきました。
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