FOCUS1

2022.05

災害、悪天候により電力需給が逼迫
節電の協力で緊急事態乗り切る

今年3月18日と22日、東京・東北エリアの電力需給が逼迫し、社会の皆さまにご迷惑とご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。また、節電にご協力いただいた皆さまをはじめ、自家発電設備の最大限の運転にご協力いただいた関係業界の皆さまなど、多くの皆さまに感謝申し上げます。
今回の需給逼迫に対し、電力業界では総力を挙げて供給力の確保に努めました。今後とも安定供給の維持に取り組んでまいります。

特に需給逼迫が深刻となった22日は、東北エリアで電力使用率が100%(東北電力ネットワークでんき予報の速報値)に到達、東京エリアでは電力需要の実績値が供給力の計画値を上回りました。16日に発生した福島県沖地震の影響で東北・東京エリアの火力発電所が一部停止していたことや、計画外の発電所停止により供給力が低下したこと、また悪天候に伴う気温の低下で両エリアの電力需要が急増した一方、東京エリアでは太陽光発電の出力が設備容量の1割程度しか上がらなかったことなどが大きな要因です。加えて、原子力発電所の長期停止や火力発電所の休廃止増などによるベース電源不足も背景にあると考えられます。

東北電力と東京電力ホールディングスは火力発電所の増出力運転や調整力電源である揚水発電のフル稼働など、供給力確保に最大限取り組んだほか、ホームページやSNSで節電を呼び掛けました。また、電力各社は電力広域的運営推進機関と連携し、沖縄を除く各エリアから両エリアに電力融通を行いました。

今回の需給対応については国の検証に業界としてしっかり協力し、今後の対策に活かしてまいります。

「ひっ迫警報」初の発令

今回、経済産業省・資源エネルギー庁は両エリアを対象に「電力需給ひっ迫警報」を初めて発令しました。同警報は、需要家の節電協力にもかかわらず電力需給の逼迫が想定される特定のエリアにあらかじめ発令し、緊急の節電要請を行うものです。

同警報の発令や萩生田光一経産相による強い節電要請に、自治体や産業・商業施設、家庭の皆さまがしっかり応えていただいた結果、22日に東京エリアで約4,400万kWhという節電協力につながり、大規模停電を回避する大きな力となりました。

今年度夏・冬も厳しい見通し

2022年度の夏季・冬季の電力需給についても厳しい見通しが示されています(4月12日電力・ガス基本政策小委員会)。特に冬季は、10年に1度の厳しい気象条件を想定した需要に対し、東京エリアの予備率が来年1、2月にマイナス、他の6エリアでも必要な予備率3%を下回ると予測。夏季についても東北・東京・中部エリアで予備率3%ギリギリとなっています。

国では、今後の需要面の取り組みとして、計画停電や電気事業法に基づく使用制限令の検討も行っていくとしています。電力業界ではそうした事態にならないよう、今回の教訓を踏まえ、発電設備の安定稼働やトラブルの未然防止、安定的な燃料確保などの対策を総動員し、電力供給力の確保に取り組みます。また、電気の効率的な利用方法など、皆さまへの情報発信に努めていきます。

また、今回のような自然災害などの不測の事態に備え、ベース電源と調整力電源をいかにバランスよく確保するか、これまでの電力システム改革も踏まえ検討していく必要があると考えます。

2022年度 予備率(%)

資源エネルギー庁の資料より作成

COVER PHOTO

  • 需給のバランス保つ巨大な「蓄電池」
    ~九州電力 小丸川発電所~

    九州電力最大の揚水式発電所・小丸川発電所(30万kW×4基)で3号機のオーバーホールが進んでいます。揚水発電所は、電力需要が少ない時に下部調整池から上部調整池に水をくみ上げ、需要が多い時の発電用に蓄えておく、巨大な「蓄電池」です。

    22日の需給逼迫で東京エリアの供給力に対する使用電力の割合が一時107%(東京電力パワーグリッドでんき予報の速報値)となりましたが、これは供給力が計画値を表示するのに対し、使用電力は実績値がリアルタイムに表示されることで起こりました。停電を回避できたのは計画値外の供給力として自家発電設備のたき増しに加え、同エリアの揚水発電所が予備電源としてフル稼働したことも大きく貢献しています。

    今回のように需要ピーク対応に利用される揚水発電ですが、近年は天候によって出力が左右される再生可能エネルギーの調整力電源として利用されるケースも増えています。

    小丸川発電所の現場でも、電力の安定供給を支える使命感を胸に、設備の機能維持に全力で取り組んでいます。

  • 小丸川発電所

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