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2023.08

東京電力福島第一原子力発電所
処理水の海洋放出設備が完成

東京電力ホールディングス(以下「東京電力HD」)は、福島第一原子力発電所のALPS(多核種除去設備)処理水を海洋放出する計画に基づき、長さ約1kmの放水トンネルをはじめとする設備の工事を2023年6月に完了させました。

2021年4月決定の政府基本方針では「2年程度後にALPS処理水の海洋放出を開始することを目途」とされていました。東京電力HDは、2022年7月に原子力規制庁から「実施計画変更認可」を受け、同年8月から海洋放出設備の設置工事を開始し、シールドマシンを用いた放水トンネル掘削などを進めてきました。

放水トンネル

放水トンネル 提供:東京電力HD

工事完了後の2023年7月4日には国際原子力機関(IAEA)のラファエル・グロッシー事務局長が来日し、海洋放出の計画が「関連する国際的な安全基準に適合している」とする包括報告書を岸田文雄首相に手渡しました。同年7月7日には原子力規制委員会から東京電力HDに対して使用前検査の終了証が交付されました。今後東京電力HDは政府による判断を踏まえて、この夏頃にも放出を開始する方針です。

福島第一原子力発電所では、地下水や雨水が建物内に流入し、放射性物質を含む水と混ざり合うことで新たな汚染水が生じることから、地下水や雨水の建物内流入量抑制に最大限努めながら、発生した汚染水はALPSなどの設備で多段階の浄化処理を行ってきました。

ALPS処理水とは、浄化設備でも取り除けないトリチウム以外の放射性物質を規制基準以下まで浄化処理した水のことです。現在、福島第一原子力発電所には約1000基のタンクが設けられ、ALPS処理水など約134万m3が保管されています。

ただ、現在の保管量はタンク容量全体の98%に相当し、このままでは2024年2月から6月ごろにタンクが満杯になる見通しです。今後本格化していく廃炉作業を安全に進めるためには、ALPS処理水の海洋放出によってタンクを減らし、廃炉作業のための敷地を確保する必要があります。

そこで国と東京電力HDは、ALPS処理水のトリチウム濃度が国の安全基準(1リットル当たり6万ベクレル)やWHO(世界保健機関)の飲料水基準(1リットル当たり1万ベクレル)よりも十分に低い1リットル当たり1500ベクレル未満になるまで海水で希釈し、放水トンネルを通じて沿岸から約1kmの地点で放出する計画です。

希釈設備の稼働状況はリアルタイムで監視し、海水や水産物のモニタリングも行います。希釈設備が停止した場合や、モニタリング結果に異常が確認された場合には、安全のため速やかに放出を停止することとしています。

(情報はいずれも2023年7月28日時点)

※:ストロンチウム処理水(汚染水からセシウムとストロンチウムを除去したもの)や処理途上水(初期にALPSで処理された水のうち、規制基準値を満たしていないもの)を含む。なお、海洋放出前に、ストロンチウム処理水および処理途上水は規制基準値を十分に下回るまで浄化される。

今夏の電力需給 足元の需給対策を万全に
中長期的な取り組みも

2023年度夏季の電力需給は、政府が6月に開いた「電力需給に関する検討会合」において、西日本エリアを中心に10%程度の予備率を確保している一方で、東京エリアについては7月の予備率が安定供給に最低限必要な3.0%をかろうじて上回るという厳しい見通しが出されました。

電気事業者としては、電力需要が増大する夏季を乗り切るため、火力発電の燃料の確保や、日ごろからの設備の点検に全力を注いでまいります。また、需要側においても、産業界や自治体と連携した節電対策やその実行体制の構築、ディマンド・リスポンスの普及拡大などの取り組みに、国や電力広域的運営推進機関、一般送配電事業者と連携しながらしっかりと協力してまいります。

一方で、想定以上の気温上昇による需要の増加や、電力設備の計画外停止による供給力の減少、さらにはウクライナ情勢の影響による燃料供給途絶などのリスクを考慮すると、依然として予断を許さない状況が続きます。東京エリアにお住まいの皆さまには、国からも呼びかけられている通り、無理のない範囲での節電にご協力をお願いいたします。その他のエリアの皆さまにおかれましても、引き続きエネルギーの効率的なご使用に取り組んでいただきますようお願いいたします。

また、近年、供給力に余裕がない状況が続いている要因として、発電を巡る事業環境の悪化に伴う電源の休廃止が挙げられており、既設電源の維持や新規電源の建設に係る投資回収の予見性を高める環境整備が不可欠です。足元の需給への取り組みに加え、中長期的な安定供給の基盤づくりについても喫緊の課題と捉え、事業者の立場から課題解決に向けた議論に積極的に参加してまいります。

2023年度夏季の電力需給見通し

※10年に一度の猛暑を想定した需要に対する予備率
2023年6月9日 電力需給に関する検討会合資料より作成

中長期的な電力の安定供給の基盤づくりに向けた取り組み

電気事業連合会 6月度会長会見資料より作成

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