特設サイト 高レベル放射性廃棄物の
地層処分って?

日本では、電力の安定供給や温室効果ガスの削減等に向けて、安全を最優先に原子力発電を最大限活用する方針です。また、発電で使用した燃料は再利用することとしており、再利用できない部分は適切に処分する必要があります。この処分について、将来世代に負担を先送りしないためにも、一緒に考えてみませんか?

(2024年11月25日時点)

原子力発電に伴って発生する高レベル放射性廃棄物とは何ですか?

原子力発電で使用した燃料(使用済燃料)は再処理することで、もう一度原子力発電の燃料としてリサイクルできます。使用済燃料の約95%は再利用が可能ですが、再利用できない残りの約5%はガラスと融かし合わせて、キャニスターと呼ばれるステンレス製容器に注入して、冷やして固めます。この固体化したものは、「核のごみ」と呼ばれることもありますが、正確には「高レベル放射性廃棄物」や「ガラス固化体」と言います。

高レベル放射性廃棄物の地層処分とは何ですか?

高レベル放射性廃棄物の処分については、原子力発電が稼働する前から、さまざまな処分方法が検討された結果、「地層処分」することが世界共通の認識となっています。
日本では既に、ガラス固化体に換算して約27,000本に相当する使用済燃料が発生しており、この処分は将来世代に負担を先送りしないよう、我々の世代で必ず解決しなければならない重要な課題です。
高レベル放射性廃棄物は30〜50年間冷却した後、地下300m以上の深い安定した岩盤に地層処分します。「天然バリア」である地層と「人工バリア」であるガラス固化体や金属、粘土を組み合わせた「多重バリアシステム」により、数万年以上にわたって放射性物質を私たちの生活環境から隔離することができます。
高レベル放射性廃棄物の最終処分の実現に向けては、国が前面に立ち、原子力発電環境整備機構(NUMO)が実施主体として取り組みを進めています。また、高レベル放射性廃棄物の発生者としての基本的な責任を有する原子力事業者も、国やNUMOと連携し、全国のできるだけ多くの皆さまのご関心やご理解が深まるよう取り組んでいます。

出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」

地層処分以外の処分方法ではいけないのですか?

地上で保管し続ける場合、自然災害(地震等)や人間の行為(戦争等)の影響を受けるリスクなど、将来世代の管理負担が生じます。ガラス固化体の放射能の低減まで数万年以上にわたり、将来世代に地上での保管の負担を負わせ続けることは、現実的ではありません。
これまでに、最終処分の方法として宇宙処分や海洋投棄、氷床処分などのさまざまな方法が検討されてきましたが、地層処分は、国際社会から現時点で最も安全で実現可能な処分方法とされています。

処分場はどのようなプロセスで選定されるのですか?

処分場の選定は「国からの申し入れ」や「自治体からの応募」を受けて、「文献調査」、「概要調査(ボーリング調査等)」、「精密調査(地下施設での調査・試験)」のそれぞれの調査を経て行われます。

出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」

日本はどのような状況なのですか?

日本では、2020年11月から北海道の寿都町(すっつちょう)と神恵内村(かもえないむら)において、また、2024年6月からは、佐賀県玄海町において、最終処分場の選定に向けた調査の最初のステップとなる文献調査が開始されました。
文献調査は、その地域の地質図などの文献・データや学術論文などを収集し、地層処分に関心を示していただけた地域の皆さまに事業を深く知っていただくとともに、次の調査に当たる概要調査を実施するかどうかを検討していただくための材料を集める事前調査的な位置づけの調査です。
現在、文献調査の実施地域は3カ所となっていますが、少しでもより良い地質条件を有する処分地を選定するため、できるだけ多くの地域で調査を行う必要があります。

北海道寿都町と神恵内村での文献調査はどのような状況ですか?

北海道の寿都町、神恵内村の文献調査については、2024年2月にNUMOが調査結果を取りまとめた報告書の原案を国の審議会に提出し、概要調査の候補となるエリアが示されました。その後、同審議会で議論され、8月に報告書案の審議が終了し、了承されました。
その後、2024年11月に文献調査報告書が町村長および知事に提出され、報告書の縦覧・説明会などが行われています。

出典:NUMO「シン・ちか通信 Vol.9」

▼ 詳しくはこちら

NUMO HP「調査の状況と対話の記録」

文献調査を一度受け入れてしまうと、もとに戻れないのではないですか?

文献調査を実施した地域がそのまま立地選定されるのではなく、調査の各段階で、知事および市町村長の同意が得られない場合、次の段階に進むことはありません。なお、将来の方々がその方法を常に見直せるように、可逆性※1・回収可能性※2が適切に担保されます。

1 可逆性:処分場を閉鎖するまでの間、処分プロセスを元に戻す、あるいは検討し直せること。

2 回収可能性:処分場を閉鎖するまでの間、高レベル放射性廃棄物を搬出できる可能性を確保すること。

なぜ、複数の地点で調査する必要があるのですか?

複数の地点で調査を行い、その中から地層処分に最も適した地点を検討し、選んでいくことが重要です。
また、調査対象地域を拡大することで、全国の多くの皆さまに最終処分事業について理解を深めていただきたいと考えております。

海外はどのような状況なのですか?

地層処分の取り組みは、日本だけではなく、原子力発電を利用する世界各国で進められています。既に処分地が決定している国から、どのように地層処分を行うか検討している国まで様々ですが、地層処分の実現という課題は共通であり、各国は協調しながら最大限の努力をしています。

一例として、世界で唯一処分場の建設を開始しているフィンランドにおいては、地層処分の実施を決めてから30年以上の歳月をかけて、国民理解・地域理解に弛まぬ努力を重ねており、2024年8月には安全性確認のための試験操業が開始されました。
なお、諸外国でも、多くの地域から絞り込んで、少しでもより良い地質条件を有する処分地を選定しています。

▼ 詳しくはこちら

NUMO「フィンランドの最終処分場立地自治体・エウラヨキ町長と当機構理事長との対談」
原子力産業新聞「フィンランド 最終処分場が試験操業開始」

出典:NUMO「高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する対話型全国説明会 説明資料」

フィンランド・オルキルオトで建設中の最終処分場
(2020年代に操業開始予定)
Photo Posiva Oy

オルキルオトの最終処分施設のイメージ図
Photo Posiva Oy

高レベル放射性廃棄物の最終処分は、必ず解決しなければならない重要な課題であり、将来に負担を先送りしないよう、我々の世代で解決に向けた対策を確実に進めることが必要であります。そうした中で、最終処分について全国的な議論を喚起し、理解を深めていただくとともに、文献調査の対象地域が拡大することは、非常に大きな意義があるものだと、考えております。
現在、電力会社は、国やNUMOと連携し、合同チームを組んで自治体訪問を行っています。2023年度は100以上の自治体の首長の方を訪問していることが、特定放射性廃棄物小委員会において、報告されております。
我々、事業者としては、高レベル放射性廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、国、NUMOと連携しながら、地域の皆さまとの対話活動などを継続してまいります。そして、最終処分事業に理解を深めていただき、少しでもご関心をお寄せいただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。

電気事業連合会 会長会見(2024年5月)
玄海町における「特定放射性廃棄物の最終処分に係る文献調査」受け入れ表明より抜粋

電気事業連合会 会長
林 欣吾

ご説明資料

電気事業連合会では、高レベル放射性廃棄物の最終処分について全国の皆さまにご関心を持っていただくための資料を作成しました。
最終処分に関する基本的な内容や、処分地選定の現状などをご説明しております。ぜひご覧ください。

▼ PDFはこちら
一緒に考えよう 原子力発電に伴う高レベル放射性廃棄物の最終処分

さらに知りたい方はこちら

電気事業連合会広報誌「Enelog」

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