放射性廃棄物は、原子力発電所の運転などにともない発生する放射能レベルの低い「低レベル放射性廃棄物」と、使用済燃料の再処理にともない再利用できないものとして残る放射能レベルが高い「高レベル放射性廃棄物」とに大別されます。処分にあたっては、廃棄物の放射能レベル、性状、放射性物質の種類などに応じて適切に区分し、厳重に管理し、それに応じて発生者責任の原則のもと、合理的な処理・処分を行います。
(出典:エネ百科)
低レベル放射性廃棄物の処分
原子力発電所から発生する放射性廃棄物の多くは、放射能レベルの低い放射性廃棄物です。低レベル放射性廃棄物に含まれる放射性物質のほとんどは、数十年程度の管理によって、放射能の量は半分以下に減少します。日本では、低レベル放射性廃棄物は陸地に埋設処分することにしています。

低レベル放射性廃棄物埋設センター
(出典:日本原燃HP)
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高レベル放射性廃棄物の貯蔵管理
原子力事業者は、原子力発電所から発生する使用済燃料の一部を、フランスおよびイギリスの再処理工場に委託して再処理しています。再処理し分離されたウランやプルトニウムは、原子燃料として再利用するため電気事業者に返還され、同時に発生する放射性廃棄物も返還されます。
この放射性廃棄物のうち高レベル放射性廃棄物は、安定した形態に固化したガラス固化体として返還されます。返還されたガラス固化体は、六ヶ所村の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで、最終的な処分に向けて搬出されるまでの30~50年間冷却・貯蔵されます。

高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター
(出典:日本原燃)
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高レベル放射性廃棄物の地層処分
高レベル放射性廃棄物は、強い放射線を出し、その放射能レベルが十分低くなるまでには非常に長い時間がかかります。そのため、数万年以上にわたり人間の生活環境から離れたところに処分する必要があります。処分方法については、原子力発電が開始された1960年代から、宇宙への処分、海洋に投棄、地上で保管など、様々な方法が検討されてきました。その結果、現時点では、最も安全で実現可能な「地層処分」することが世界共通の考え方になっており、日本だけではなく、原子力発電を利用する世界各国で進められています。
既に処分地が決定している国から、どこに地層処分を行うか調査・検討している国までさまざまですが、地層処分の実現という課題は共通であり、各国は協調しながら最大限の努力をしています。
日本では、2020年11月から北海道の寿都町と神恵内村において、また、2024年6月からは、佐賀県玄海町において、最終処分場の選定に向けた調査の最初のステップとなる文献調査が開始されました。
各国の取り組みの一例として、処分場の建設が先行しているフィンランドにおいては、地層処分の実施を決めてから30年以上の歳月をかけて、国民理解・地域理解に弛まぬ努力を重ねており、2024年8月には安全性確認のための試験操業が開始されました。
なお、諸外国でも、多くの地域から絞り込んで、少しでもより良い地質条件を有する処分地を選定しています。

フィンランド・オルキルオトで建設中の最終処分場
(2020年代に操業開始予定)Photo Posiva Oy

オルキルオトの最終処分施設のイメージ図
Photo Posiva Oy
最新動向
- NUMO「地層処分の国民的議論に向けて」
- NUMO「調査の状況と対話の記録」
- NUMO 「各国の取り組み状況」
- 原子力環境整備促進・資金管理センター「諸外国での高レベル放射性廃棄物処分」
- 原子力産業新聞「フィンランド 最終処分場が試験操業開始」
- 原子力産業新聞「スウェーデン 使用済み燃料最終処分場が着工」