LNG船 東京電力富津火力発電所

vol.03

手前が越後丸、奥がアルカティーヤ号

船が接岸すると船側と陸側の配管接続が行われる。接合部(フランジ)を入念に点検、表面を清掃してから順次接合し、窒素で圧力をかけて気密試験を行う。 エネルギー資源に乏しい日本は、発電の燃料として液化天然ガス(LNG)、石油、石炭などを海外から船で運んできます。現在、多くの原子力発電所が停止しているため、これまで以上に火力発電に頼らざるを得ない電力会社は超大型の輸送船を導入してLNGを調達するなどしています。この日、東京電力富津火力発電所(千葉県富津市)には大型のLNG船が2隻同時に着岸しました。既に着岸していた越後丸に続いて、カタールから約2週間かけ、アル・カティーヤ号が到着しました。
富津火力発電所はこの巨艦を迎える時、一気に緊張が高まります。船は東京湾にいながら、波の高さやうねりの影響で予定した日に着岸できないことがあります。発電所は巨大な4つのガスタンクを空にした状態で船を待ちますが、必要な時に燃料が来なければ、日々の電気をつくるのに影響が出る可能性もあるからです。
もともと天然ガスは気体ですが、液化するには理由があります。気体を液化にすることによって、体積が約600分の1になり、1隻の船でよりたくさんのガスを運ぶことができるからです。ガスは到着した発電所で再び気体に戻され、発電の燃料として使われます。
今回は、あわせて14万3000トンのLNGを受け入れましたが、それでも、この量は首都圏で使われる電気の2日分にしかなりません。

初めての船でも安全かつ計画通りに受け入れるため、現場では安全確認を一つ一つ丁寧に行っている。配管接続が終わると日もすっかり暮れた。 そして船が無事に接岸しても緊張は解けません。ガスは液状を保つために、つねに極低温で管理することが必要です。船のタンクに受け入れ用のパイプを接続する際は、接続部の漏えいや温度管理に細心の注意が払われます。
富津火力発電所では、例年になく大量のLNGを受け入れる状況が続きます。電力需要が増える冬を迎え、「水際」の現場も電力の安定供給に向けた努力を続けています。