電力供給を裏から支える地道な業務。「できて当たり前」だからこそ、“黒子”としてのプライドがあります。

vol.03

北海道電力 工務部 中央給電指令所 副主幹

赤坂 佳代子さん

津軽海峡の海底を走り北海道と本州を結ぶ送電線「北本連系線」は、東日本大震災をきっかけに、その役割が一躍脚光を浴びた。発電設備に大きな被害を受けた東北や関東に、北海道から電気を送るパイプとなったのである。
この連系線を管理・運用する赤坂は「とても重要な設備。運用上、間違いやミスがあれば、広い地域のお客さまに計り知れない影響が及ぶ」と話す。電力自由化を契機に発電ビジネスに新規参入する企業が相次いだ。これらの企業にも連系線は開放され、例えば北海道にある火力発電所や水力発電所で作られた電気が連系線で送られ、本州で使用されている。

しかし、連系線で電気を流せる量には限界がある。利用を望む企業が集中した場合、交通整理が必要となる。「企業のお客さまには、届出順に利用できる仕組みになっていることを丁寧に説明し、理解していただきます」。連系線の運用にあたっては、電力会社を含め、利用者をルールに沿って公平に取り扱っている。

赤坂は電力自由化が始まる前、送電線を他の利用者に開放する際のルール作りに携わった。どれくらいの利用者が現れるのか予想できなかったが、いざ電力自由化が始まると利用者は着実に増えていった。制度が変わることで、実際に市場が動く姿を目の当たりにした。
赤坂は日ごろ週間、月間、年間で連系線の運用計画をつくる業務に追われる。電力供給を裏から支える地道な業務だが小さなミスも許されない。「できて『当たり前』と思われるからこそ、"黒子"としてのプライドがあります」と熱っぽく語る。
東日本大震災では東日本の広い地域で電力供給に大きな影響が出た。「安定して電気をお届けすること」。地震という巨大な力を前に、これまで当たり前のように取り組んできたことが一気に崩れてしまうのではないか。そんな不安もよぎった。それでも、被災した地域に対し、自分たちができることは何かを考えた。確実に電気を届けるという使命を果たし、日々の業務を積み重ねることによって、自身の「不安」も克服されていった。
震災以降、北海道電力は東北に電気を送り続けている。赤坂は今、連系線に携わる仕事の重みを実感している。

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