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2023.10

原子力発電のパイオニア ~関西電力 美浜発電所~

関西電力美浜発電所は、原子力発電におけるパイオニアの役割を果たしてきた発電所です。

日本初開催の万国博覧会である大阪万博が開かれた1970年には、1号機が加圧水型軽水炉(PWR)として国内初の営業運転を開始。同年8月8日には大阪万博に電気を送り届け、原子力時代の幕開けを印象付けました。

その後、1976年には3基体制となり、安定的な電力供給を通じて、我が国の増大する電力需要を支えてきました。

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故を経てからは、2017年に1、2号機が国内のPWRとして初めての廃止措置を開始。原子炉や配管に付着した放射性物質を取り除く「系統除染」など、廃止措置工事でも先進事例を積み重ね、現在は原子炉周辺設備や2次系設備の解体撤去作業などが行われています。

そして2021年6月、3号機が運転開始から40年を超えた原子力発電所として初めての再稼働を実現しました。再稼働に必要な安全対策設備の設置・検査に関わった竹阪伊織さんは、「美浜から『原子の灯』を消させない」との思いを胸に業務に臨んでいたと振り返ります。特に検査については、「新しい設備で誰も経験したことのない検査でしたが、メーカーの方など関係各所と綿密なコミュニケーションを図り、無事検査を完了することできました」と話します。

このような原子力発電のパイオニアとしての実績は、美浜発電所の社員にとっても誇りになっています。竹阪さんも、美浜発電所で働くという矜持を胸に、「無事に再稼働を果たすことができましたが、安全・安定運転を継続することこそが大切です。伝統を守り、つないでいくためにも、さらなる安全の高みを追求していきます」と話します。

運転中の3号機格納容器と竹阪さん

運転中の3号機格納容器と竹阪さん

試送電した大阪万博会場の様子

試送電した大阪万博会場の様子

廃止措置中の1・2号機タービン建屋内

廃止措置中の1・2号機タービン建屋内

号機、炉型、定格出力、運転開始、現状の表

原子力白書が次世代革新炉を特集
高温ガス炉と高速炉は開発体制の整備進む

原子力委員会は今年7月、令和4年度版原子力白書を公表しました。今回の白書では、次世代革新炉として位置づけられる革新軽水炉や高温ガス炉、高速炉について、安全性向上技術の開発が進められていることや、2050年カーボンニュートラル実現への貢献が期待されていることなどを発信しています。

安全性向上については、外部電源がなくなるような非常時でも炉心や格納容器を冷却できる設計とする技術開発が進められています。

例えば、高温ガス炉では1600℃の高温でも核分裂生成物を閉じ込めることができるセラミックス被覆燃料を用います。さらに、高温に耐えることができて熱伝導率も高い黒鉛などの素材を炉内構造物に利用することで、冷却材であるヘリウムガスを喪失した場合でも炉心の熱が原子炉容器の外側へ放熱され、燃料が自然に冷える設計です。

カーボンニュートラルへの貢献については、再生可能エネルギーの発電量の変動などに応じて電力需給バランスを調整する「負荷追従機能」を持たせるための研究開発も進んでいます。加えて、カーボンフリー水素の製造に貢献できる可能性にも触れています。効率的な水素製造にはできるだけ高い反応温度が必要となりますが、高温ガス炉は約900℃の高温を供給できることからその活用が注目されます。

また、高速炉は、高レベル放射性廃棄物の減容化や有害度の低減、さらに原子燃料サイクルによるエネルギー資源の有効活用からエネルギー自給率の向上に貢献するものとして実用化が期待されています。

今回の白書で紹介されたような次世代革新炉の研究開発が進む中、高温ガス炉と高速炉については、「実証炉」の開発に向けた体制整備も進んでいます。経済産業省・資源エネルギー庁は昨年、高温ガス炉は2030年代後半、高速炉は2040年代に実証炉の運転開始を目指すとの目標を示しており、今年7月にこれらの実証炉の製造・建設を担う「中核企業」に三菱重工業を選定しました。実証炉開発の体制整備が進んだことで、革新炉開発の動きが加速していく見通しです。

※ 実用規模の発電施設としての技術の実証と経済性の見通しを確立するために作られる原子炉

高温ガス炉を活用した水素ターミナルのイメージ

A:原子炉施設 B:発電施設 C:化学工場 D:水素製造施設 E:燃料電池トラックステーション

高温ガス炉を活用した水素ターミナルのイメージ

提供:三菱重工業

女優・今田美桜さんご出演 新CM&Webムービー放映中!

電気事業連合会では、昨年に引き続き女優の今田美桜さんを起用した新テレビCMとWebムービーを放映しています。

テレビCM エネルギーから、明日をおもう。

  • ココが見どころ!
    明治時代と現代それぞれの教師に扮した2人の今田さんが、「持続可能な電気の供給」「効率的な電気の利用」をテーマに、過去と現在の電気の価値や使われ方の違いを紹介します。

  • エネルギーから、明日をおもう。:テレビCMイメージ

Webムービー ふつうの日々

  • ココが見どころ!
    今田さんが演じるのは、九州から上京した20代のファッションブランドのストアプランナー。日々を慌ただしく過ごす中で、ファッション業界が抱える社会的な課題などを耳にするようになり、そのことをきっかけに、エネルギーのことを意識しはじめます。

  • ふつうの日々:テレビCMイメージ

電事連ホームページでメイキング・インタビュー動画も公開中!