FOCUS2

2023.03

帰還困難区域の一部エリアで避難指示解除
「復興と廃炉の両立」へ新たな動きも

福島の復興を巡る状況は、この1年間で大きな変化がありました。福島県浜通り地域における帰還困難区域内に設けられた「特定復興再生拠点区域」(以下、「復興拠点」)の一部で避難指示解除が実現。避難を余儀なくされていた方々が再び暮らせるようになりました。廃炉の状況と合わせ、最近の動きをご紹介します。

復興拠点で帰還が可能に

東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で帰還が困難となった区域では、先行して避難指示解除を目指す復興拠点が6つの自治体に設けられており、2020年3月以降、段階的に避難指示解除が進んでいます。今後は、2023年3月31日に浪江町の復興拠点全域、4月1日には2020年に一部区域が解除されていた富岡町の復興拠点全域で避難指示が解除される予定です。残る飯舘村の復興拠点も今春の解除を目指しています。(2023年3月15日時点)

また、政府は帰還困難区域の再生に向けて、復興拠点以外で「特定帰還居住区域」を新設する福島復興再生特別措置法の改正案を2月に閣議決定しました。同区域では住民の意向などを踏まえて国が除染やインフラ整備などを行います。改正案が成立すれば、復興拠点以外の地域においても希望者の帰還に向けた仕組みが整うことになります。

燃料デブリ取り出しへ準備

福島第一原子力発電所の廃炉に向けては、1~3号機の炉内にあった燃料や炉内構造物が溶けて混ざり合った「燃料デブリ」の取り出しに向けて、デブリの状態を調べるロボット調査が順次行われています。2023年度後半には2号機でロボットアームを用いた燃料デブリの試験的取り出しが始まる計画です。

2022年には、東京電力ホールディングスとメーカーが大規模デブリ取り出し技術の開発とデブリの収納容器製造を担う新会社2社を浜通り地域に立ち上げています。これにより、廃炉と浜通り地域の産業復興がそろって進展することが期待されます。

また、発電所では、汚染水中の放射性物質を多核種除去設備(ALPS)などの設備で取り除いた処理水がタンクに保管されています。2月時点のALPS処理水等およびストロンチウム処理水(ALPS処理前水)の貯蔵量は、全タンク容量(137万m3)の96%に当たる132万m3に達しており、環境放出に関わる国の規制基準を満たした処理水は、春から夏ごろに海洋放出が始まる見通しです。

これに伴う風評の広がりを招かないためには、国内外に向けて正確な情報を迅速かつ透明性の高い形で発信する必要があります。電気事業連合会としても、風評対策としての全国的な魚食振興支援などに引き続き取り組んでまいります。

避難指示解除を前に開かれた双葉町新庁舎の開庁式

避難指示解除を前に開かれた双葉町新庁舎の開庁式 提供:電気新聞

特設サイト「魚食振興について」のご紹介

  • 減少傾向にある魚食量の回復や、風評の影響抑制のため、電気事業連合会および電力各社ではさまざまな魚食振興に取り組んでいます。

    サイトでは社員食堂でのメニュー提供の様子や名古屋の鮮魚卸二代目「魚屋の森さん」による旅&魚料理動画「魚屋の出張旅」などを公開しています。ぜひお楽しみください。

    サイトはこちら
    https://www.fepc.or.jp/sp/gyoshoku/

  • 魚食振興について ~電力各社の取り組みの今~