2024.07
初回の長期脱炭素電源オークション
蓄電池の応札が集中 原子力も落札

電力広域的運営推進機関の資料を基に作成
電力広域的運営推進機関は2024年4月、初回となる2023年度の長期脱炭素電源オークションの約定結果を公表しました。約定総量は976万6000kWで、内訳は「脱炭素電源」が401万kW、「LNG専焼火力」が575万6000kWでした。
長期脱炭素電源オークションは、脱炭素電源の容量を長期にわたって確保する狙いで設けられました。落札電源は固定費水準の容量収入を原則20年間得られることになっており、それぞれ定められた期間の安定供給を支えることが期待されます。
今回、「脱炭素電源」は募集量400万kWに対して780万5000kWの応札がありました。発電方式別の内訳を見ると、「既設火力の改修」で上限100万kWの募集枠に対して水素混焼で5万5000kW、アンモニア混焼で77万kWの応札があり、全量が落札。募集上限のなかった「その他の新設・リプレース」はバイオマス発電所19万9000kWと、中国電力島根原子力発電所3号機の131万6000kWが約定しました。「揚水・蓄電池」は蓄電池455万9000kWを含む539万7000kWの応札があり、「脱炭素電源」全体の空き枠が振り向けられた結果、募集上限100万kWを超える166万9000kWが約定となりました。
緊急的な供給力確保のため、「脱炭素電源」とは別枠で募集された「LNG専燃火力」は、2023年度から3年間で600万kWを募集することとしていましたが、575万6000kWの応札全量が落札となり、初年度に3年間の募集量がほぼ埋まった格好です。
初回オークションで目立ったのは、「脱炭素電源」の枠で蓄電池案件の応札が集中したことです。経済産業省の作業部会は今回の結果を踏まえ、次回2024年度オークションにおける発電方式ごとの募集量や募集上限、各種応札要件の検討に入っており、「揚水・蓄電池」の募集上限・最低入札容量の引き上げなどが議論されています。また、次回オークションで既設原子力発電所の安全対策投資を新たに対象とする案も示されています。議論を踏まえ、電源投資回収予見性の一層の向上に資する制度への改善が期待されます。
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