原子力発電所の安全対策 四国電力伊方発電所

vol.03

海水ポンプや非常用ディーゼル発電機は、非常時に重要な役割を果たす機器です。外部からの電力供給が途絶えると、非常用ディーゼル発電機がすぐに起動し海水ポンプで海水をくみ上げ原子炉や使用済燃料プールの冷却に利用します。しかし、福島第一原子力発電所の事故では、これらが津波によって浸水し、いずれも使えなくなりました。

海水ポンプ 四国電力伊方発電所(愛媛県伊方町)では、1月から2号機の定期検査を行っています。今回の定期検査では、通常の検査メニューに加え、福島の事故を踏まえ、海水ポンプと非常用ディーゼル発電機の点検を入念に行っています。発電機の建屋にある扉とポンプ周囲の浸水対策も強化しました。

船が接岸すると船側と陸側の配管接続が行われる。接合部(フランジ)を入念に点検、表面を清掃してから順次接合し、窒素で圧力をかけて気密試験を行う。 発電所構内の海抜32メートルの高台には、大容量の電源車4台、仮設の水中ポンプ28台などを配備し、万一のときにも電源や冷却機能を確保できる体制を整えています。さらに、発電所に隣接する海抜95メートルの変電所から構内まで、新たに配電線を敷設し、外部電源の多様化を図りました。

初めての船でも安全かつ計画通りに受け入れるため、現場では安全確認を一つ一つ丁寧に行っている。配管接続が終わると日もすっかり暮れた。 また、2月16日には重大事故を想定した愛媛県の原子力防災広域避難訓練が行われました。伊方発電所では、大規模地震で1号機から3号機の原子炉すべてが自動的に停止したものの、津波による被害で全交流電源(外部電源、非常用ディーゼル発電機)が失われる事態を想定。適切な情報連絡や電源、水源を確保する緊急安全対策などを確認しました。

全国の原子力発電所では、福島の事故を踏まえた緊急安全対策をすでに実施しましたが、更なる点検や対策を実施しています。私たち電力会社は、事故の教訓を安全対策に十分に反映し、立地地域をはじめ国民の皆さまの信頼回復に向け全力を尽くしていきます。