夏に向けた電力の確保 関西電力姫路第一発電所

vol.06

昨年の夏と冬に続き、この夏においても皆さまに節電をお願いせざるをえない事態となり深くお詫び申し上げます。大変なご不便とご迷惑をおかけいたしますが、節電にご協力を賜りますよう、何卒お願い申し上げます。

私たち電力会社では、夏に向けた電力の確保に努めております。とくに電力不足が深刻な関西電力でも、長く休止中だった火力発電所の再稼働や定期検査の延期のほか、少しでも夏場の電力を増やすためあらゆる手を尽くしています。

水を霧状にするノズル 関西電力姫路第一発電所(兵庫県姫路市)は天然ガスを燃料にした最新鋭の火力発電所(70万キロワット級×2基)です。しかし、この発電方式は燃焼用に取り込む空気の温度が30度を超えると出力が1~2割低下してしまいます。

試験噴霧の様子 そこで、霧状にした水分を噴きつけ、その気化熱により空気の温度を下げる技術を取り入れることとし、水から不純物を取り除くフィルターと、水を細かい霧にする数百個のノズルを取り付けました。フィルターでも取り除けない微細なチリや蒸発しなかった水滴が高速で回転するタービンなどを傷つけるリスクがあり慎重な運用が必要ですが、1基あたり1万数千キロワットの出力回復が期待できます。

加えて、発電所の敷地内に新たに小型ガスタービン発電設備(3万2700キロワット×2基)を設置しています。通常であれば少なくとも半年はかかる工事を4ヵ月半という短い期間で完了させるため、現場では工事の発注方法や試運転の段取りなどを工夫するとともに昼夜を徹した作業を進めています。

左右に2本の煙突 その奥にタービンと発電機をそれぞれ設置する これらは、発電所の運転を続けながらの作業になります。姫路第一発電所は安定供給に欠かせない重要な電源です。この運転に支障がないよう細心の注意を払いながら、夏場の電力を増やすため発電所の総力を挙げて取り組んでいます。