海峡越えの電力ケーブル守る 入念な巡視・点検で安定供給を

vol.14

中村 正人さん

関西電力神戸電力所
神戸電力システムセンター(地中送電)作業長

中村 正人さん

神戸市と淡路島をつなぐ明石海峡大橋。自動車道ではあるが、ライフラインをつなぐ重要な役割も担う。関西電力はこの橋げたの下に7万7000Vの電力ケーブル2回線を敷設し、淡路島に電気を送っている。

「現場第一線を預かる作業長として、どのような状況下におかれても、安定した電気をお客さまに送り続けるということは何にも勝る使命と考えています」と、送電設備の巡視・点検・補修作業の現場でリーダーを務める中村は語る。その思いは誠実な仕事ぶりにも表れる。「橋の上は風も強く、下は船舶も行き交うため、保守作業や定期点検中は、海上に工具や資材を落とさないよう、緊張感を持って、安全を最優先に作業しています」

床面の蓋を開け、ケーブルを確認。

約4kmにわたる橋上で定期的に行う電力ケーブルの点検では、設備異常の早期発見に努める。ケーブルが格納されている床面の蓋を開け、ケーブルが異常に熱くなっていないか、亀裂などの損傷はないか、固定具に錆はないかなど、設備を入念に見て回る。

明石海峡大橋は、風や交通量の変化によって、橋の伸縮が起きる。このため、橋上に敷設された電力ケーブルに余計な力が掛からないよう、あらかじめケーブルを蛇のようにうねった状態に設置したり、ひときわ大きくたわみをつくって影響を吸収する緩衝部分を設けたりしている。狭く閉ざされた場所に設置されているこの緩衝部分の点検は、夏場は猛烈に暑い空間での作業となる。

狭い空間で行われる緩衝部分の点検作業。

厳しい作業環境でも、「どこかに異常はないか」中村は設備をいたわるプロの仕事に徹する。「地味で目立たない作業ばかりだが、一つ一つの確実な作業がなければ、お客さまに送り届ける電力の安定供給は果たせない」普段の柔和な表情とは対照的に、使命感を帯びた言葉が印象に残った。

Enelog Vol.14 繋ぐ力インタビュー映像