重責を担うLNGタンク基礎工事 胸を張って誇れる発電所に

vol.16

北川 朝恵さん

北陸電力 富山新港火力発電所
建設所 土木課

北川 朝恵さん

2014年10月、北陸電力の富山新港火力発電所では、2018年の運転開始を目指し、LNG1号機(42.47万kW)の準備工事が始まった。所内で最も古い石炭1号機(25万kW)を北陸電力として初となる高効率で環境負荷の少ないLNGコンバインドサイクル発電設備に更新。新たにLNG燃料を受け入れるための設備も建設する。

LNG燃料設備エリアの基礎工事の様子

LNG燃料設備エリアの基礎工事の様子

寒風吹きすさぶ中、液状化防止の地盤改良工事が本格化する現場を、北川は巡視や検査立ち会いで足しげく見てまわる。
担当するのはLNG燃料設備エリアの基礎工事。
ここに並ぶのは18万kℓものLNGを貯蔵する巨大な地上式タンクや、LNGを気化する設備など、発電に欠かせない重要設備ばかり。
これらを長期にわたり安定的に支えることのできる頑丈な土台を作る仕事の「責任は重い」。
しかし社運をかけた最新鋭火力の建設プロジェクトに携われるのは「嬉しくもあり、大変やりがいがある」ととらえる。

発電設備の建屋。一番左が今回廃止となる石炭1号機。

発電設備の建屋。一番左が今回廃止となる石炭1号機。

水力発電設備の保守を振り出しに、火力建設に移って1年余り。
入社4年目の北川は、数少ない女性土木技術者の一人。
「経験が浅く、技術的な判断を迫られて、悩むことがある」とはいえ、時に上司・先輩の助けを得ながら、課題解決に真正面から取り組んでいる。

これまでで最も印象深かったのは、約15万tのタンクの荷重に耐える基礎杭の設計だ。
タンクの重さや地盤の特性をもとに、打設する杭の本数はもちろん、杭の形状や長さ、直径、材料の厚みなどについて、事細かに吟味する。太い杭を本数多く、深く打てばもちろん強度は増すが、同時にコストも増す。
強度的にも経済的にも最適設計となる杭の仕様を決めるために、約30通りものシミュレーションをした。
準備工事の後には、この杭を用いての基礎工事が始まる。
「設計に携わったものが現場で施工され、ものができていくのはとても楽しみ」とも。その喜びをかみしめられるよう、今は地盤改良工事が安全に品質を確保しながら計画的に進むよう綿密な工程管理を行い、今春の本格着工を目指す。

「30年後、40年後に、自分が建設に携わったプラントだと胸を張って誇れるよう、精いっぱい今の仕事に取り組みたい」。
力強い言葉を発する凛とした笑顔。
そのまなざしは、完成後にそびえ立つタンクの姿をしっかり見定めている。

Enelog Vol.16 繋ぐ力インタビュー映像