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[オランダ] 原子力人材育成を強化へ

2024年2月1日

オランダ政府の原子力利用拡大の意向を受け、オランダの原子力および教育セクターの関係者は1月12日、原子力の理工系分野における職業教育の強化を目的とした共同声明に署名した。
原子力分野でのキャリアに対する学生の関心を高めるために、新しい原子力教育カリキュラムの共同開発などを視野にいれている。


現在、オランダの原子力シェアは小さく、国内唯一の原子力発電所であるボルセラ発電所(PWR、51.2万kW)が国内の総発電電力量の約3%を供給するのみ。
同発電所は1973年の運転開始後40年目の2013年に運転期間が20年間延長され、運転認可は2033年末まで有効である。


2021年3月に発足した連立政権の4党は、2040年までにCO2排出量の実質ゼロ化を目指しており、同年12月に4党が合意した2025年までの政策方針の中で、ボルセラ発電所の運転を長期に継続するとともに、政府の財政支援により新たに2サイトで原子力発電所を建設する方針を明記
2022年12月、政府は第3世代+(プラス)の原子炉(各100万~165万kW)2基の新設を計画し、建設サイトとして、ボルセラ発電所の立地エリアを指定している。
いずれも2035年に運転開始させ、2基で国内の総発電電力量の9~13%を賄うと試算する。
また、ボルセラ発電所では、政府の資金提供を受け、2034年以降の運転継続に向けた実行可能性調査が進行中である。


オランダでは、クリーンエネルギーへの移行に寄与するとして小型モジュール(SMR)の建設計画も進められている。
オランダのULCエナジー社は英ロールス・ロイス社製のSMRを複数基導入する考えで、2023年11月、英ロールス・ロイスSMR社とオランダの建設企業BAMインフラ・ネーデルランド社と長期的に協力することで基本合意している。


また、ロシアのウクライナ侵攻による地政学的な変動で、原子燃料の需要の高まりを受け、英国に本拠地を置く濃縮事業者のウレンコ社は、オランダにあるアルメロ工場の濃縮能力を拡大する計画だ。


核医学分野では、医療用アイソトープ製造のため、新しい研究炉PALLAS(熱出力5.5万kW)が北ホラント州のペッテンで建設中である。
原子力研究コンサルタント・グループ(NRG)が1960年から運転する高中性子束炉(HFR、熱出力4.5万kW)の後継機となる。
HFRは、医療用アイソトープの欧州の需要の約60%、世界の需要の約30%を生産する。
政府は、PALLAS建設への資金拠出を通じて世界市場における地位の向上と北ホラント州の高い知見と雇用の維持を目指している。


「これらの野心的な目標を実現するには、原子力分野の十分な知識を持つスタッフを増やす必要がある」「そのためには、職業教育が重要な役割を果たすため、原子力産業界と教育機関との連携を強化する必要がある」と共同声明は指摘している。


共同声明の署名式には、産業界からはCOVRA(放射性廃棄物の処理・貯蔵)、EPZ社(原子力発電)、NRG-Pallas(医療用アイソトープ製造)およびUrenco社(ウラン濃縮事業)が参加した。
教育機関からは中等職業教育(MBO)機関のScalda、Horizon College/Regio College、Vonk、ROC van Twenteおよびデルフト工科大学(TU Delft)が参加している。

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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