2007年3月30日
電気事業連合会
会長 勝俣 恒久

昨年11月に経済産業大臣から電力各社に対して、発電設備に係るデータ改ざん、必要な手続きの不備その他の問題がないか、本年3月末までに徹底的な点検・調査を行うことにより、全ての膿を出し、世界で一番安全安心な原子力立国を目指すべきとのご指示を頂きました。

電力各社はご指示を真摯に受け止め、安全を最優先する企業文化を構築するためには不可欠との認識に立って、これまで4か月間、検査や点検記録、工事の仕様書や実施記録の調査、さらには現役社員はもとより、原則として、既に退職した社員、協力会社やメーカー等、延べ7万人以上にも及ぶヒアリングを行うなど、データ改ざんや手続き不備等について徹底的に洗い出しを行ってまいりました。
本日、これまでの点検・調査結果について電力各社が取りまとめ、報告書を提出致します。

電力各社ならびに電気事業連合会は、平成14年の東京電力における原子力不祥事、16年の関西電力美浜発電所3号機の事故等を踏まえて、法令遵守の徹底、情報公開・理解活動の促進、安全確保のレベルアップなどに取り組んでまいりました。
しかしながら今般の、発電設備全般にわたる過去のデータ改ざん等一連の不適切事例によって、法令遵守の意識、データ取り扱いなどの仕組みやルールが組織の隅々まで徹底・浸透されていなかった点が明らかになり、これまでの取り組みでは決して十分ではなかったものと深く反省をしております。
立地地域や社会の皆さまからも大変厳しいご意見をいただいており、電力業界全体への信頼が大きく損なわれてしまいましたことを重く受け止めております。

今回の点検・調査結果を貴重な教訓とし、今後、徹底した再発防止と、安全文化の再構築・定着を図るために、電力各社は、以下の点を重点に対策を検討してまいります。


データの適正な記録・管理、技術者倫理の徹底などを電気事業連合会行動指針に反映するとともに、企業倫理遵守の再徹底を図る。

法令やルールの遵守、コンプライアンスについては、幹部や管理職の意識・役割が重要であることから、幹部・管理職を中心に徹底して研修・教育する。

風通しの良いコミュニケーションを促進し、時期の如何を問わず不正・不備を隠すことなく自発的に言い出すことができ、それを積極的に受け止め、改善する等の仕組みを確立する。

電力間の情報共有に努め、特に原子力部門については、日本原子力技術協会との連携を強化し、電力各社が同協会の「原子力施設情報公開ライブラリー(ニューシア)」に登録する発電所のトラブル情報や対策の一層の共有を進める。また、「隠す・隠さない」を判断する余地がなくなるような情報公開・透明性確保のルール・仕組みを徹底する。 

立地地域をはじめ広く社会の皆さまからの信頼を一日も早く回復するために、このたびの過去のデータ改ざん等を踏まえ、電力各社は4月のできるだけ早い時期に再発防止策をとりまとめて報告するとともに、新たな事象が判明した場合には、速やかに公表し、所要の改善措置を講ずる所存です。
なお、電気事業連合会としましても、「信頼回復委員会」を開催するなど業界全体としての取り組みに努めてまいります。

以上