同時同量

電力需給において、ある瞬間に消費されている電気の量(需要)と発電されている電気の量(供給)は一致していなければなりません。これを同時同量の原則といいます。
需要に対して供給が不足したり過剰になったりして同時同量が崩れると、電気の周波数が乱れます。その結果、電力系統につながっている様々な機器・装置の稼働が不安定になったり、最悪の場合は地域が大停電に陥るおそれもあります。
常に同時同量が維持されている裏では、天候や過去の需要実績などに基づいて精密に電力需要を予測し、発電や電力調達など供給の計画を立て、さらに実際の需要変動に合わせて供給力を調整するといった作業が日々行われています。

電力広域的運営推進機関ホームページより作成

慣性力・同期化力

火力発電など、タービンの回転で発電する「同期電源」は、安定供給に必要となる「慣性力」や「同期化力」を持っています。慣性力は電力の消費量と発電量のバランスが崩れても一定の間は元の周波数を維持しようとする力、同期化力は同じ電力系統内の発電機が同期して同じ周波数で回ろうとする力のことです。
例えば落雷による送電線の故障で大規模な電源が電力系統から脱落してしまった場合、同期電源が持つ慣性力や同期化力により、周波数の変動を抑制することができます。
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、「非同期電源」と呼ばれるもので、慣性力や同期化力を持っていません。また、非同期電源は直流から交流への変換に電子機器を使用しますが、周波数の変動が一定の幅を超えると、この電子機器を守るために電力系統から離脱するという特性があります。
このため、大規模な電源が電力系統から脱落してしまった場合、非同期電源の比率が高ければ高いほど、周波数の変動を抑えることができず、電源が連鎖的に脱落してしまう可能性も高くなります。つまり、再エネの比率が過度に高くなると、電力系統が不安定になり、停電リスクが高まる恐れがあるため、火力発電等の調整力が必要です。

非同期電源の特性