エネルギーミックスとは、火力、原子力、再生可能エネルギーなどの発電方法を組み合わせることであり、「S+3E」の観点から最適な電源構成(ベストミックス)を追求する考え方のことです。

日本のエネルギー政策の根幹である「S+3E」の詳細についてはこちらを参照ください

日本のエネルギーミックスの現状(2024年度)

日本の発電電力量における電源構成は、LNG(液化天然ガス)や石炭などの火力発電が全体の約7割を占めており、火力発電への依存度の高い状態が継続しています。火力発電は、天候に左右されずに安定して電気を作ることができる重要な電源ですが、燃料のほぼ全量を海外からの輸入に頼っているため、国際情勢の影響を受けやすく、燃料価格の高騰が電気料金の高騰に直結しやすいという課題があります。また、地球温暖化対策の観点からは、発電に伴うCO2排出量の削減が喫緊の課題となっています。

一方で、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、非化石電源の比率は徐々に高まっています。発電電力量における再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス)の比率は2割を超え、政府が第7次エネルギー基本計画で掲げている主力電源化に向けた取り組みが進んでいます。

また、原子力発電は1割未満となっており、安全最優先での再稼働が進められています。原子力は、発電時にCO2を出さず、少ない燃料で大量の電気を安定して供給できるため、脱炭素化とエネルギー安全保障の両面で重要な役割を担っており、安全性の確保を大前提に最大限活用していく必要があります。

各発電方法の詳細についてはこちらを参照ください
グラフ:電源別発受電電力量の推移(1980年度〜2023年度)。地熱及び新エネルギー・水力・天然ガス・石炭・石油等・原子力の構成比を示した積み上げ棒グラフ。
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電源別発受電電力量構成比(1980年度〜2023年度)
出典:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」より作成
年度 年間発受電電力量
(億kWh)
地熱及び新エネルギー 水力 天然ガス 石炭 石油等 原子力
1980 4,850 0% 17% 15% 5% 46% 17%
1985 5,840 0% 14% 22% 10% 27% 27%
1990 7,376 0% 12% 22% 10% 29% 27%
1995 8,557 1% 10% 22% 14% 19% 34%
2000 9,396 1% 10% 26% 18% 11% 34%
2005 9,889 1% 8% 24% 26% 11% 31%
2009 9,565 1% 8% 29% 25% 7% 29%
2010 11,494 2% 7% 29% 28% 9% 25%
2015 10,404 6% 8% 41% 34% 10% 1%
2017 10,597 8% 8% 40% 33% 8% 3%
2018 10,471 9% 8% 38% 32% 7% 6%
2019 10,184 10% 8% 37% 32% 6% 6%
2020 9,985 12% 8% 39% 31% 6% 4%
2021 10,280 13% 8% 34% 31% 7% 7%
2022 10,017 14% 8% 34% 30% 8% 6%
2023 9,877 15% 8% 33% 28% 7% 9%
  • (注)2009年度まで:資源エネルギー庁「電源開発の概要」および「電気供給計画の概要」
  • (注)2010年度以降:資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」
  • (注)「石油等」は、石油の他、LPG、その他ガス、瀝青質混合物を含む
  • (注)四捨五入の関係で合計値が合わない場合がある。グラフ内の数値は構成比(%)を示す

世界との比較:なぜ日本は「エネルギーミックス」が必要なのか

日本が特定の電源に頼ることが難しい理由は、世界の主要国と比較すると明確になります。

日本は「資源がなく、エネルギー自給率が極めて低い」かつ「島国であり、他国から電気を融通できない」という厳しい制約があります。カナダやアメリカのように豊富な資源を持つ国や、ドイツやフランスのように陸続きで隣国と送電網(国際連系線)がつながっている国とは、前提条件が大きく異なります。

グラフ:主要国のエネルギー輸入依存度(2023年)。日本は原子力を含む場合85%、除く場合91%で、韓国・イタリア・ドイツなどと比較した棒グラフ。
【データ詳細】主要国のエネルギー輸入依存度の数値を見る
主要国のエネルギー輸入依存度(2023年)
出典:IEA「World Energy Balances 2025」より作成
国名 輸入依存度(原子力を含む) 輸入依存度(原子力を除く)
日本 85% 91%
韓国 79% 96%
イタリア 75% 75%
ドイツ 67% 68%
フランス 45% 86%
インド 35% 37%
イギリス 35% 42%
中国 19% 22%
アメリカ -13% -3%
ブラジル -16% -15%
ロシア -75% -68%
カナダ -93% -85%
  • (注)下向きのグラフは輸出していることを表す

主要国のエネルギー自給率比較(2023年)

出典:FEPC INFOBASE p.174「日本のエネルギー自給率の推移」/ IEA「World Energy Balances 2025」
国名 エネルギー自給率 特徴
カナダ 193.3% 豊富な水力・化石燃料を持つ資源大国
アメリカ 113.2% シェール革命により自給率が向上
フランス 55.0% 原子力発電の比率が高い
ドイツ 33.3% 欧州送電網で近隣国と電力を融通可能
日本 15.3% 資源に乏しく、送電網も孤立

このように資源を持たない日本は、リスク分散のために多様な電源を組み合わせる必要があります。

2040年度の見通しと課題(第7次エネルギー基本計画)

日本政府は「2050年カーボンニュートラル」の実現を見据え、2040年度のエネルギーミックスの見通しを公表しています。この見通しでは火力発電の比率を現在の約7割から3~4割へと大幅に引き下げ、一方で非化石電源(再生可能エネルギー・原子力発電)の比率を現在の約3割から6~7割へと倍増させるという、極めて大きな変化が織り込まれています。

電源構成の推移と2040年度見通し

参考:FEPC INFOBASE p.22「電源構成比の推移」、p.156「エネルギー基本計画」
電源 2010年度
(震災前)
2024年度
(現状)
2040年度
(見通し)
増減の方向性
再生可能エネルギー 9.6% 23.1% 40〜50%程度 主力電源として最大限導入
原子力 28.6% 9.2% 20%程度 最大限の活用
火力 61.7% 67.7% 30~40%程度 必要なkWを維持し、非効率石炭火力を中心にkWhを減らす

データセンター増加等による電力需要の増加が見込まれるなか、今後、安定供給と脱炭素を両立させるためには、再生可能エネルギーと原子力の二項対立ではなく、共に最大限活用することが必要不可欠です。
再生可能エネルギーの主力電源化に向けては、イノベーションの加速が重要となります。そのため、ペロブスカイト太陽電池や浮体式洋上風力などの未確立の発電技術については、社会実装加速化を進めていく必要があります。
また、原子力は、安全性の確保を大前提に、再稼働の加速に向けて取り組むとともに、次世代革新炉の開発や、廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力発電所のサイト内での建て替えを進めていく必要があります。

これまでの変遷(エネルギーミックスの歴史)

日本のエネルギー政策は、時代の流れに合わせて大きく変化してきました。

1. 水力主体の時代(~1950年代)

戦後復興期は、国内で調達可能な水力発電が主力でした(水主火従)。大規模な水力開発が進められ、復興期の電力需要を支えました。

2. 石油火力の時代(1960年代~)

高度経済成長に伴う電力需要の急激な増加に対応するため、開発期間が短い火力発電の開発が進み、火力中心に移行しました(火主水従)。1960年代に石油価格が相対的に安価になったことで重油や原油を燃料とする石油火力発電が急速に普及しました。

3. エネルギーミックスの追求(1973年 オイルショック~)

1973年と1979年の二度のオイルショックを機に、エネルギー資源を石油に依存することを改め、石油に代わるエネルギー資源の確保の重要性が高まりました。石油代替エネルギーとして、原子力、LNG(液化天然ガス)、石炭など複数の電源をバランスよく組み合わせるエネルギーミックスが強力に推進されました。

4. S+3Eと脱炭素化(2011年~現在)

2011年の東日本大震災および福島第一原子力発電所事故以降、原子力発電の停止により再び火力発電への依存度が高まりました。現在は、安全確保(Safety)を大前提に、安定供給・経済効率性・環境適合(3E)を同時達成するため、再生可能エネルギーの主力電源化と、安全性が確認された原子力発電の活用、そして火力発電の脱炭素化(高効率化)が進められています。

「S+3E」の観点についてはこちら
  • (参照)FEPC INFOBASE p.20「電源構成比の推移ー① 概要」