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[カナダ] 深地層処分場建設計画、候補地を5地点に絞り込み

2018年1月5日

カナダで使用済燃料処分の実施主体となっている核燃料廃棄物管理機関(NWMO)はこのほど、地下500mの深地層に建設する最終処分場のサイト選定プロセスにおいて、候補地を5地点に絞り込んだと発表した。
同プロセスは現在、「潜在的な適合性の予備評価」段階にあり、受け入れに関心を表明した22地点のうち9地点が第1フェーズの机上調査を終え、初期ボーリング調査の実施を含む第2フェーズに進んだ。
NWMOはこのうち2地点を今年6月に除外したのに続き、今回オンタリオ州のブラインドリバーとエリオットレイクの2地点を除外したもの。
使用済燃料を安全に処分する上で最も好ましい1地点を2023年までに決定するため、今後も試掘抗の掘削や採取した試料の分析等を行っていく。
残りの5地点はいずれもオンタリオ州内で、イグナス、ヒューロン=キンロス、サウスブルース、ホーンペイン、マニトウェッジである。
ブラインドリバーら2地点で調査を打ち切る理由としてNWMOは、技術調査や住民関与の面で問題の生じるファクターが複数特定されたと説明。
具体的には、地層が複雑であることや、地形が岩だらけで立入が制限される点、プロジェクトの実施で必要となる住民との幅広いパートナーシップの構築可能性が低いことなどを挙げた。
それでもNWMOのサイト選定担当副理事長は、これら2地点の自治体がこれまで、カナダの全国民に代わって立地活動を積極的に牽引してくれたと評価。
そうした協力に報いるため、地域の持続的開発と福祉向上のための支援金60万カナダドル(約5,270万円)を両地点の自治体と先住民に提供するとした。
また、これらの近隣に位置するスパニッシュおよびノースショアの両自治体に対しても、予備評価の第1フェーズで除外された後も協力してくれたことに感謝の意を表明。
30万カナダドル(約2,635万円)を福祉向上準備金として提供する考えを明らかにしている。
NWMOが進めている「サイト選定プロセス」は、連邦政府や州政府、すでに原子力施設が立地する地方自治体、先住民、政党など、様々な関係者との緊密な協議を通じて2008年に共同設計された。
「処分場の建設・操業」に至るまで9つの段階で構成されており、NWMOは2009年に同プロセスの第1段階を開始した。
現在の「適合性の予備評価」は第3段階にあたり、NWMOは今年11月、その時点で残っていた候補地点のうち、オンタリオ州イグナスで初めて初期ボーリング調査を開始した。
コストについては、処分する使用済燃料の量により変動するとNWMOは説明しており、既存の商業炉すべてが運転終了した時点の使用済燃料集合体は最大で540万体になると計算。
これらを処分する経費は、2015年時点の価値で236億カナダドル(約2兆730億円)になると述べた。
処分場の建設スケジュールについては、2023年までに建設サイトを特定した後、詳細な特性調査や許認可活動で約8年が必要とNWMOは予測。
約10年の建設期間を経て、2040年~2045年あたりで処分場の操業を開始できると見込んでいる。

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

<参考>[カナダ] 使用済燃料の深地層処分場候補地でボーリング調査開始(2017年12月1日掲載)

 

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