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[米国] 政府による民生用原子力技術の対中輸出審査厳格化で産業界がコメント

2018年11月26日

米エネルギー省(DOE)が今月11日に発表した中国に対する民生用原子力技術の輸出審査厳格化方針について、米原子力エネルギー協会(NEI)は10月24日、産業界に及ぶ商業的影響の範囲を見極めるため、加盟企業らと協力中であるとのコメントを発表した。
世界でも最大規模の市場である中国から米国の様々な原子力技術が閉め出されることになれば、影響が大きいことは明らかであり、産業界としては非常に注意深く状況を評価していることを明らかにした。
DOEの国家核安全局(NNSA)による新しい政策ガイダンスは、中国が米国の機微な民生用原子力技術を軍用、およびその他の未承認目的に違法転用することを強く懸念している。
米国政府による政策見直しの結果として、DOEのR.ペリー長官は11日、「米中原子力協力協定に基づく既存の手続の外で、中国が原子力技術の入手に取り組むことにより、米国の国家安全保障に及ぶであろう影響を無視できない」と指摘。
中国広核集団有限公司(CGN)が米国技術の軍事盗用を試みたとして起訴されている件も含め、新たな許可申請や既存承認の延長が却下される可能性を明らかにしていた。
NEIによると、国家安全保障会議が政策の見直しを始めた昨年以降、連邦規則集第10編(10CFR)のうち、米原子力規制委員会(NRC)による原子炉製品の輸出許可権限を定めた110項と、DOEによる原子力技術の輸出許可権限を定めた810項に基づく中国企業の輸出承認申請は、現在保留中。
ガイダンスの発表後、NRCとDOEは申請者と直ちに協議を行い、未処分の申請について明確にする方針を表明したとしている。
DOEのガイダンスでは、2018年1月1日以前に810項に基づいて承認された技術移転の修正や延長は、そのまま認められる見通し。
中国で完成しつつある4基のウェスチングハウス社製AP1000のように、継続中の大型軽水炉プロジェクトは技術も機器も移転が承認済みであるため、ほとんど影響はないとNEIは見ている。
一方、軽水炉方式の小型モジュール炉(SMR)と非軽水炉方式の新型炉の輸出申請、2018年1月1日以降に申請された新たな技術移転、CGNとその子会社および関連企業に対する機器類の移転申請については、同ガイダンスは否認されるとの見通しを提示。
中国が輸出用に開発した「華龍一号」や、中国が知的財産権を有するAP1000の拡大版「CAP1400」のために米国が独自開発した機器など、米国との経済競争に直接影響すると見られる機器類の輸出についても、同ガイダンスは「認められない」と推測している。
NEIのコメントによれば、米国政府は産業界に対する最近のブリーフィングの中で、複数の省庁で構成されるグループが「中国に対する懸念は、米中間の原子力商取引を縮小させる原因になる」としていた点に言及した。
NEIのD.リップマン副理事長は、「懸念を抱くのはもっともだが、商業的な損失を軽減するためには、審査の厳格化は注意深く行う必要があると警告。米国政府としては、国家的な安全保障と経済セキュリティに対する懸念と、戦略的に重要な産業が被るかもしれない損失との間で、バランスが取れるような政策を模索した結果なのだろう」との見方を示している。
(参照資料:DOE、NEIの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月25日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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