海外電力関連 トピックス情報

[カナダ] チョークリバー・サイトのSMR建設計画で環境アセスメント開始

2019年8月15日

カナダ連邦政府は7月15日、小型モジュール炉(SMR)の「マイクロ・モジュラー・リアクター(MMR)」をカナダ原子力研究所(CNL)チョークリバー・サイトで建設するプロジェクトについて、カナダ原子力安全委員会(CNSC)が環境アセスメント(EA)プロセスを開始し、8月半ばまでの期間に一般国民および先住民グループから、建設サイトとその周辺環境に関するコメントを募集すると発表した。
このプロジェクトでは、同国のエネルギー・プロジェクト開発企業グローバル・ファースト・パワー(GFP)社が今年3月、カナダのSMR計画としては初めて、「サイト準備許可(LTPS)」をCNSCに申請していた。
支援企業の米ウルトラ・セーフ・ニュークリア社(USNC)が設計・開発したMMR(熱出力1.5万kW、電気出力0.5万kW)の商業用実証炉を、原子力発電事業者であるオンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社との協力により、同サイトで準備・建設・運転した後、廃止措置をとるという内容である。
CNSCはまず、LTPS申請にともない提出された同プロジェクトの概要を審査し、関係規則に即していると認定した。
一般からのコメント募集を含むEAプロセスは、LTPSの発給判断を下す前に関連法に基づいて実施されるもので、これにより同プロジェクトが周辺環境等に深刻な悪影響を及ぼさないことを確認する。
CSNCはこのため、同プロジェクトの建設サイトと周辺環境に対するコメントを、関連情報などと併せてEAプロセスに活用する方針である。
USNC社のMMRは、シリコン・カーバイドで層状に被覆されたウラン粒子を燃料に用いる第4世代の小型モジュール式高温ガス炉。
20年の運転期間中に燃料交換を行う必要がなく、いかなる事故シナリオにおいても、物理的な対応なしですべての熱が受動的に環境中に放出されるという。
また、メルトダウンが発生するリスクもなく、運転員が持ち場を離れた場合でも安全性が保たれるとしている。
GFP社とUSNC社、およびOPG社が同日に発表した共同声明によると、EAプロセスの開始にともない3社は同プロジェクトの詳細調査を始める予定。
GFP社はさらに、この作業と並行して、CNLが2018年4月に募集を開始した「CNL管理サイトにおけるSMR実証炉の建設・運転提案」に対しても、提案者の選定プロセスに必要な情報を提供する。
MMRのLTPS申請がCNSCに承認されれば、同プロジェクトはカナダで将来的にSMRを開発する際のモデル計画になると3社は指摘。
SMRは化石燃料に代わる有望な発電オプションとなるほか、遠隔地の鉱山など産業設備に対する電力供給にも適用されるとした。
また、MMRモデルは究極的に、再生可能エネルギー源の使用を可能にしつつエネルギー需要を満たす上で、カナダ全体に重要なソリューションをもたらすと明言。
環境面や地球温暖化防止面の目標達成にも寄与するとしている。
(参照資料:カナダ政府、カナダ原子力安全委、GFP社、OPG社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月17日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」) 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】 

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