海外電力関連 トピックス情報

[世界] IAEAが加盟国から2,200万ユーロの拠出受け新型コロナ対策支援

2020年6月1日

国際原子力機関(IAEA)のR.グロッシー事務局長は5月11日、加盟国から予算枠外で強力な資金提供を受けて、世界約120か国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の封じ込めで支援イニシアチブを実施すると発表した。
この資金はこれまでに合計約2,200万ユーロ(約25億9,640万円)に達しており、IAEAは原子力から派生した検査技術「リアルタイム逆転写PCR(RT-PCR)」を世界中の数百もの研究所で使用可能になるよう支援。
この手法は現在のところ、COVID-19を引き起こすウイルスの検出で最も正確かつ迅速だと言われている。
COVID-19に対するIAEAのこのような取り組みは、人や動物の健康など原子力技術の平和利用促進に向けた技術協力プログラムに基づいて行われている。
例えば食糧農業機関(FAO)との連携協力では、IAEAは過去10年間にエボラ出血熱やジカ熱のように動物から人へ感染、あるいは人畜共通の伝染病と闘う国々に対し、簡易検査方法などの支援を行っている。
今回の提供資金は、まず米国から1,100万ドル(約11億8,600万円)、日本が約4億7,200万円、カナダが500万カナダドル(約3億8,600万円)、ノルウェーが200万ユーロ(約2億3,600万円)、ドイツとオランダ、およびロシアが各50万ユーロ(約5,900万円)、フィンランドが20万ユーロ(約2,360万円)などを約束。
このほか、中国は200万ドル(約2億1,600万円)相当の現物支給支援を行うと表明している。
グロッシー事務局長は、「加盟各国の迅速で惜しみない資金提供と、世界中で緊急時支援を行うIAEAへの信頼には心から感謝する」とコメント。
IAEAはCOVID-19と闘う国々の重要なパートナーであると強調している。
IAEAが対象国に提供するのは主に、リアルタイムRT-PCR検査を直ちに行うのに必要な検査パッケージで、RT-PCR装置や個人用防護具、試薬、実験用消耗品、診断キットなどが含まれる。
また、技術的な知見やガイダンスを提供するとともに、ヘルスケアの専門家を世界中で育成するためにオンライン・セミナーも開催。
IAEAに支援要請する国の数は2か月前の10か国から119か国に増加しており、グロッシー事務局長は「危機に瀕し助けを求める人々をIAEAは見捨ててこなかったし、これからも見捨てることはない」と断言した。
IAEAはこれまでに、約20台のRT-PCR装置を各国の医療現場に供給。
ボスニア・ヘルツェゴビナやブルキナファソ、イラン、ラトビア、レバノン、マレーシア、ペルー、セネガル、タイ、トーゴはこのような装置を受け取る最初の国になる。
これ以外の数多くの国々でも、数日後から数週間以内に同様のパッケージが到着する予定だとしている。
(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの5月12日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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