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[欧州] フォーラトム、調和の取れた欧州原子力サプライチェーンへの支援をECに要請

2020年7月1日

欧州で約3,000社の原子力企業を代表する欧州原子力産業会議連合(フォーラトム)は6月10日、「欧州原子力サプライチェーンの最適化-原子力施設における高品質の一般産業品活用に向けて」と題する報告書を公表した。
原子力産業界で高いレベルの安全性と品質、信頼性を確保するためには、盤石で多様な機器サプライチェーンが必要とフォーラトムは認識しており、欧州委員会(EC)は欧州連合(EU)域内の原子力サプライチェーンで一層の調和を図ることの重要性を認めるべきだと主張。
フォーラトムによると、欧州原子力産業界では現在、製造委託を受けて他社ブランドの製品を製造する企業(OEM)の多くがもはや市場に存在しない、あるいは当初設計した製品の製造を停止している。
これと同時に要件の多様化や厳密化が世界中で進んでいるため、新規参入企業にとっても難度の高いものになっている。
このような課題を解決するため、フォーラトムは他産業のために製造された高品質の近代的機器を原子力施設で使用できるよう、EU加盟国が規制の枠組みを見直しする際にECが支援提供することを求めている。
また、調和の取れた強力なサプライチェーンであれば、新型コロナウイルスの感染爆発によって損なわれたEU経済を復活させる一助にもなると指摘している。
フォーラトムによれば、現在EU域内で発電される総発電量の26%が原子力発電によるものであり、低炭素電源の発電量としては最大となる。
しかし、欧州の既存原子力発電所はすでに平均で35年間運転を継続しており、運転期間の長期化措置を取らなければ2035年までにこれらの設備の90%が閉鎖され、リプレースが必要になる見通しだ。
フォーラトムのY.デバゼイユ事務局長は、「欧州の原子力発電所で安全かつ信頼性の高い運転を続けるには、適切なサプライチェーンの選択肢が必要だ」と説明。
その上で、今回の報告書の勧告事項を実行すれば、欧州のサプライヤーは原子力発電所の運転長期化プロジェクトや新設プロジェクトへの参加で大きなチャンスを得るだけでなく、新型コロナ後のEU経済の復興や2050年までに域内でCO2排出量の実質ゼロ化を達成するという目標の達成にも寄与できるとした。
今回の報告書でフォーラトムは、高品質な一般産業品の利用と調和のとれたアプローチの促進に向けて、欧州の原子力産業界は一般産業品のグレード格上げに関する国際経験や既存サプライチェーンのプロジェクトを生かすべきだと強調。
また、盤石で多様なサプライチェーンの確保に向けて、以下の点についても勧告している。
•原子力産業界は、安全性に関わる一定用途に高品質の一般産業品を受け入れるための共通方法論も含め、「欧州ガイドライン」というものを策定すべきである。
この目的の達成においては、欧州原子力施設安全基準(ENISS)や西欧原子力規制者協会(WENRA)、欧州原子力規制者グループ(ENSREG)など、ステークホルダー間の境を超えた協力の実施を奨励する。
•EU加盟国を始めとする欧州の各国は、欧州共通のガイドラインに基づき高品質の一般産業品を国内で使用できるよう、国家毎のガイダンスも策定すべきである。
•原子力産業界は、一層規模の大きい市場基盤やサプライヤーとの一層効果的な連携が可能になるよう、既存の手続きを見直すべきである。
(参照資料:フォーラトムの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月10日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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