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[ベルギー] ベルギー規制当局、高レベルと長寿命低中レベル廃棄物の地層処分案を支持

2020年7月2日

ベルギーの放射性廃棄物管理実施主体である放射性廃棄物・濃縮核分裂性物質管理機関(ONDRAF/NIRAS)は、国内の高レベル放射性廃棄物と長寿命の低中レベル廃棄物の最終処分方法として地層処分を提案しているが、これに関して4月15日から実施していたパブリック・コメントの募集を6月13日に終えた。
ベルギー連邦原子力規制局(FANC)はこの件について、「地層処分は現時点で最も安全な選択肢である」と表明しており、ONDRAF/NIRASの提案を支持する考えを6月15日付で明らかにしている。
ベルギーではこれまで、これらの放射性廃棄物の長期管理方法が決定しておらず、ONDRAF/NIRASは2011年、国内の粘土層で地層処分することを推奨する国家計画案と戦略的環境アセスメント報告書を連邦政府に提出した。
しかし、その後も政府としての方針が決まらず、ONDRAF/NIRASは前述のとおり今年4月、地層処分採用の方針を盛り込んだ国家計画案についてパブコメの募集を開始していた。
パブコメの募集はまた、放射性廃棄物政策を決定する際のアプローチとしてONDRAF/NIRASが提案したプロセスの一部でもある。
処分プロセス全体の実行には数十年を要するが、処分方針の決定は廃棄物の最終処分に向けた一番最初のステップになると強調。
パブコメ期間中に数多くの貴重なコメントや知見、助言が得られたことから、今後数か月間にこれらを分析評価し、秋にはONDRAF/NIRASの監督機関やエネルギー・経済問題の関係閣僚に最終的な政策を提案するとしている。
FANCは今回のONDRAF/NIRASの提案について意見を求められていたもので、地層処分であれば放射性廃棄物は地下の安定した地層中の処分施設内に貯蔵され、長期的に隔離することができると明言。
現在の科学知識では、地層処分が最も安全な長期的処分方法だとするONDRAF/NIRASの見解に同意すると述べた。
FANCはまた、今後の世界が現在と非常に異なるものになったとしても地層処分には大きな利点があると指摘。
具体的には、戦争や地球温暖化、財源不足といった新展開に付随するリスクを極力抑えることができるとした。
さらに、この種の処分方法には「受動性」というもう一つの利点があり、一旦処分してしまえば人の介入を一切必要としない点を挙げている。
その一方でFANCは、具体的な地層処分プロジェクトの安全性については、実際の建設までに検証されなければならないと言明。
現在の提案では地層処分の原理が議論されているだけで、実際に処分場をいつどこでどのように建設するかなどの議論はされていない。
これは、規制当局であるFANCとしては、提案の原子力安全・セキュリティ面について裁定を下すが、今のところ処分施設の認可申請書が提出されておらず、処分に最適の地層やロケーション、深さ等を備えたサイトについても、まだ選定されていないことからの指摘である。
ONDRAF/NIRASは今後、パブコメの結果やFANC等の関係機関や地方組織からの助言を考慮した上で政策提案を行うが、FANCとしては、ベルギー政府が放射性廃棄物問題の長期的解決策として地層処分を承認した場合、処分サイトや地層の選定など、将来の決定事項に継続的に関わっていく考えである。
(参照資料:ONDRAF/NIRAS(仏語)、FANC(オランダ語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの6月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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