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[WNA] 白書を公表:「新型コロナ後の経済復興計画は原子力投資へのチャンス」

2020年7月31日

原子力産業を支援している業界団体の「世界原子力協会(WNA)」は7月9日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)後の世界の原子力発電について、現状分析と将来展望をまとめた白書「Building a StrongerTomorrow:Nuclear power in the post-pandemic world」を公表した。
それによると、COVID-19が世界規模で拡大(パンデミック)したことで世界中の地域社会が深刻な影響を受けたが、多くの国では今後、一層クリーンで頑健かつ回復力のある社会をどのように構築するのが最良かについて、それぞれの政府がレビューを進めている。
WNAはパンデミックに対して適切な政策的対応が取られれば、真に持続可能な世界を作り上げるまたとないチャンスがもたらされると認識。
原子力は、低炭素で機能停止からの回復力が高く価格も手頃な電力の供給インフラを支える一方で短期的な経済成長を促すなど、COVID-19後の世界の復興に向けて中心的役割を担うことができる。
原子力発電に対する投資もまた、エネルギー供給保証の強化につながるほか、水素や熱の供給に貢献して他部門の脱炭素化を支援することも可能だと強調している。
今回の白書でWNAは、原子力発電所の建設プロジェクトが各国内で重要な投資を呼び込み、地域レベルや国家レベルで経済成長を長期的に持続させる原動力になると説明。
世界では現在、108基ほどの新規原子炉建設計画に予算がついたり承認が得られるなど、すぐにも着工可能な段階に達しており、適切な支援さえあれば直ちに高賃金で長期の雇用機会を創出することができる。
これらの建設計画はすべてCOVID-19後の復興にとって重要であり、膨大な社会的利益を生む可能性がそれぞれにあるものの、これを実現するには原子力の特質を高く評価するメカニズムが必要だとWNAは指摘した。
また、直ぐに使える方策として、WNAは既存の原子力発電所における運転期間の長期化を挙げており、運転開始後30年以上が経過した世界中の原子炉約290基で運転期間を延長することは、低炭素な電力を発電する最も廉価な方法だと説明している。
WNAとしては、COVID-19が引き起こした喫緊の危機に各国政府が取り組む際、原子力発電への投資は絶好のチャンスになると捉えている。
また、地球温暖化や大気汚染、エネルギー貧困(近代的なエネルギー・サービスに対するアクセスの欠如)のように、規模が大きくて繰り返し発生する課題に取り組む際、原子力への投資は将来、これらの課題関連で危機が発生するのを防ぐことができるとした。
こうした背景からWNAは、原子力に対して投資することは社会的な責任を負うことになるだけでなく、一層クリーンかつ万人に公平な未来の構築に向けて、持続可能な経済・社会の構築をも支援することにつながると強調。
このような状況の下で、各国の為政者に対しては以下の点を実行に移すことを求めている。
 •いかなるエネルギーへの移行計画においても、原子力と原子力が持つ社会経済面、環境面、公衆衛生面の利点を考慮し、それらの利点を現実化するための政策を制定する。
 •各国政府がすでに検討中の原子炉建設計画合計108基分を実行に移し、30年以上稼働している既存の原子炉290基についても運転期間を延長する。
 •原子力への投資を促す同時に顧客価値が生み出されるよう適切な枠組みを設定し、原子力に対する資金調達上の制限を解除する。
(参照資料:WNAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの7月9日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会

 

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