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[米国] 米バイデン政権、長期経済政策で先進的原子炉技術の開発等を議会に要請

2021年4月16日

米国のJ.バイデン政権は3月31日、米国の再強化を促す長期の経済政策として「米国雇用計画(American Jobs Plan)」を公表した。
この中で、2035年までに国内電力を100%無炭素にする道筋の一つとして経年化が進んだ国内送電網の近代化とともに、クリーンエネルギー関係の製造業を再活性化するため、先進的原子炉など重要技術の開発を議会に呼びかけている。
同計画の下で、バイデン政権は今後8年ほどの期間に毎年GDPの約1%を投資する方針で、合計の投資額は2兆ドルを超える見通しである。
これによって良質の雇用を創出し国内インフラを刷新するほか、中国を上回る立場に米国が立つことを狙う。
1960年代以降、米国経済では公共投資の割合が40%以上低下したことから、同計画ではこれまでとは異なる方法で国内投資を行う考えである。
「米国雇用計画」は国内インフラの整備と地球温暖化対策に重点を置いており、投資分野を大まかに6項目に分類。
このうち2つ目の項目、「清潔な飲料水と刷新された電力網、および高速ブロードバンドをすべての米国民に提供」のなかでバイデン政権は、電力インフラの刷新(強化)を表明している。
今年2月にテキサス州の配電線網が寒波の影響で機能停止に陥り、大規模な停電が発生したことから、劣化した送電網を緊急に刷新する必要性があるとした。
エネルギー省(DOE)の調査によると、停電のために発生する損害は年間で最大700億ドルにのぼる。
このためバイデン政権は、停電からの回復が早い送電網や廉価な電気料金を国民に提供し、クリーンな電力で大気を改善、良質の雇用も創出して2035年までに電力部門のCO2排出量ゼロ化を実現するとしている。
そのための投資として、バイデン政権は1,000億ドルが必要と議会に説明。
具体策としては、「エネルギー効率化・クリーン電力基準(EECES)」を導入することや、原子力や水力など既存の無炭素電源を一層効率的に活用することなどを挙げている。
また、「米国雇用計画」における5つ目の投資項目、「研究開発への投資、製造業と小規模ビジネスの再活性化、および将来の雇用に向けた職業訓練」では、気候科学や技術革新等におけるリーダー的立場を米国が獲得しなければならないとバイデン政権は強調。
地球温暖化への取り組みやクリーンエネルギー技術の開発で米国が世界に先んじ、クリーンエネルギー関係の雇用を生み出すには、あらゆる画期的技術の開発に350億ドルの投資が必要だと議会に訴えている。
このため、バイデン政権は気候関係の優先的な研究開発の実証プロジェクトに150億ドルの投資が必要だと説明。
この中には実用規模のエネルギー貯蔵やCO2の回収・貯留(CCS)、先進的原子力技術の開発などが含まれている。
バイデン政権はさらに、この投資項目のなかで連邦政府の調達を通じてクリーンエネルギー関係の製造業を再活性化すると説明。
年間5,000億ドル以上に達する連邦政府の購買力は市場を動かす原動力となっており、これにより技術革新やクリーンエネルギーの生産、良質な雇用の創出を促進することができる。
2050年までにCO2排出量の実質ゼロ化という大統領の公約を達成するには、米国で一層多くの電気自動車や充電ポート、住宅暖房用の電動ヒートポンプなどが必要。
これらの製造に加えて、先進的原子炉とその燃料といった重要技術の開発が可能になるよう、バイデン政権は連邦政府の調達に対し460億ドルの投資が行われるべきだと議会に提言している。

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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