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[スペイン] スペインでアスコ1-2号機の運転期間を9~10年延長

2021年10月12日

10月7日付けのスペイン政府官報によると、同国北東部のタラゴナで稼働するアスコ原子力発電所1号機(PWR、103.2万kW)と2号機(PWR、102.7万kW)の運転期間がそれぞれ9年と10年延長され、1号機は2030年10月まで、2号機は2031年10月まで運転を継続することになった。
両炉はそれぞれ1983年6月と1985年9月に送電開始しており、ともに2011年の秋を起点として10年間の運転期間延長が許可された。
これらの期間が満了し、今回再び延長されたことから、両炉が運転開始して以降の運転期間はそれぞれ47年間と46年間になる見通しである。
スペインでは、TMIとチェルノブイリ両発電所の事故発生を受けて脱原子力政策が進められており、1988年にトリリョ原子力発電所(PWR、106.6万kW)が運転を開始して以降、新規の建設は行われていない。
脱原子力の達成時期については明確に定めておらず、スペイン議会は2011年2月、CO2排出量を抑制するため、原子力発電所に課していた最大40年という運転期間制限を正式に撤廃。
商業炉の運転期間は、規制当局などの助言に従い、様々な条件を勘案して政府が決定していくことになった。
国内の電力需要の増加に対しては、政府は既存の発電所の出力増強や運転期間の延長で対応。
2009年時点ですでに、サンタ・マリアデガローニャ原子力発電所(BWR、46.6万kW)の運転期間を4年延長することを許可しており、(同炉はすでに閉鎖済みだが)スペインで初めて40年以上の運転が許可された商業炉となった。
今回の官報によると、スペイン政府が2020年1月に作成した「2021年~2030年までの統合国家エネルギー・気候変動対策プラン(INECP)」では、国内のエネルギーミックスに対する原子力の貢献が確認され、原子力発電所は2027年~2035年の期間に順次閉鎖する方針である。
これにともない、アスコ原子力発電所を所有するAsociación Nuclear Ascó-Vandellós II(ANAV)社(※2号機についてはイベルドローラ社が15%出資)は2020年3月、環境移行・人口問題省に対して1、2号機の運転期間をそれぞれ9年と10年延長することを要請。
この要請書は数日後にスペイン原子力安全委員会(CSN)に送られ、両炉の安全面と放射線防護面について審査が行われた。
2021年7月末にCSNは、これらの運転期間延長を認める報告書を作成しており、環境移行・人口問題省が今回、CSNの見解に沿って延長を決定したもの。
スペインではこのほか、政府がアルマラス原子力発電所について、1号機は2027年11月まで合計46年間、2号機は2028年10月末まで45年間の運転継続を許可している。
また、バンデリョスⅡ原子力発電所は2030年7月まで43年間、コフレンテス原子力発電所は2030年11月まで46年間運転できる見通し。
最も新しいトリリョ原子力発電所の運転認可は、今のところ2024年11月まで36年間有効となっている。

(参照資料:スペイン政府官報(スペイン語)、原産新聞・海外ニュース、ほか)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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