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[国際] ECがEUタクソノミーに原子力を含める方針表明

2022年1月7日

欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は1月1日、持続可能な経済活動の分類枠組「EUタクソノミー」で持続可能と見なされるための技術的精査基準を規定した「(補完的な)委任法令(Delegated Act:DA)」に、一定条件下で原子力と天然ガスの活動を含める加える方向で検討を開始したと発表した。

環境上の持続可能性を備えた、真にグリーンな事業への投資基準となるEUタクソノミー規則は、2020年7月から施行されている。
同規則が定義する6種類の持続可能な経済活動については、ECが現在、その目的別に実質的な貢献をもたらす活動の詳細なリストをDAで定めているところ。
原子力発電は、EUタクソノミーの中で低炭素かつ気候変動の緩和に貢献すると認められているものの、放射性廃棄物の管理問題等により現時点で適格とみなされていない。

ECは今回、12月31日付けで原子力と天然ガス関係の活動を含めたDAの案文を「持続可能な資金提供に関する加盟国の専門家グループ」、およびECの諮問機関である「持続可能な資金提供プラットフォーム(PSF)」に提示した。
1月12日まで両機関の見解を求める方針で、その結果に基づいてECは今月中にも同DAを正式に採択する。
その後は、共同立法者の欧州議会と欧州理事会が同DAを4か月にわたって精査するが、精査期間の終了時に両機関がともに異議を唱えなければDAは発効し、適用が開始される見通しである。

ECによると、EUタクソノミーでは今後30年間でCO2排出量を実質ゼロ化するのに際し、必要な経済活動に十分な民間投資が行われるよう導くことが目的。
EU加盟各国の現在のエネルギーミックスは様々だが、いくつかの加盟国では依然として大量のCO2を排出する石炭火力に大きく依存している。
ECはEUタクソノミーを通じて、このような国が気候中立に向かって動いていけるようなエネルギー活動を提供する。

近年の科学技術の進歩や科学的助言、クリーンエネルギーへの移行に伴う各国の様々な課題を考慮した結果、ECとしては再生可能エネルギーを基盤とする未来に向かう手段として、原子力と天然ガスが一定の役割を担うと認識した。
EUタクソノミーでは、これらのエネルギー源がCO2排出量の実質ゼロ化に貢献できるよう、明確かつ厳しい条件の下で分類を行う方針。
今回のDAがカバーする経済活動によって、石炭火力の段階的な廃止を加速し、一層低炭素なグリーンエネルギーミックスに向かって歩を進めていく考えだ。

なお、このような作業の透明性を確保するため、ECは今回、EUタクソノミーの開示に関するDAを改正すると表明。
改正法令の下で、投資家は投資に際して、その経済活動に天然ガスや原子力に関する活動が含まれているか、含まれている場合はどういった条件下であるかを判断、十分な情報に基づいて投資先を選択できるようになるとしている。

(参照資料:ECの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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