[国際] UAEのバラカ2号機が営業運転開始
2022年3月31日
アラブ首長国連邦(UAE)で原子力導入プロジェクトを主導する首長国原子力会社(ENEC)は3月24日、アブダビ首長国で建設中のバラカ原子力発電所(韓国製の140万kW級PWR「APR1400」×4基)で2号機が営業運転を開始したと発表した。
同発電所の1号機はアラブ諸国初の商業炉として2021年4月に営業運転を開始した。
2号機は同年8月に起動し、翌9月には国内送電網に初めて接続されるなど、同炉で約7か月間に及んだ試運転が完了したもの。
ENECはこれにより、UAEでCO2を排出しない発電設備が140万kW追加され、合計280万kWになったと表明した。
また、同発電所でUAEが目指す「総電力需要の25%供給」に向けて、道のりの半ばまで到達したと評価している。
ENECによると、バラカ発電所は首長国内の電力部門の速やかな脱炭素化を促し、UAEが2050年までにCO2排出量を実質ゼロ化する際も大きく貢献。
「一日24時間、年中無休で無炭素な電力」を供給可能な原子力によって、経済成長に不可欠な国産電力の持続的な供給が保証されると強調している。
同発電所では後続の3、4号機の建設工事も順調に進展しており、昨年11月に実質的な作業がすべて完了した3号機では起動に向けた準備作業が行われている。
4号機の作業も最終段階に入ったことから、2012年に1号機の建設工事が始まって以降、発電所全体の建設進捗率は96%以上に到達した。
2023年までに4基すべてが完成し、総電力需要の25%が賄われた場合、排出が抑制されるCO2の総量は年間2,240万トンになると見られており、これは乗用車480万台分の排出量に相当するとENECは指摘した。
同発電所はまた、立地点があるアブダビ首長国で2025年までにクリーン電力の85%以上を発電する見通し。
これにより同首長国では、この10年間の半ばまでにCO2排出量の約50%削減することが可能になるとしている。
同発電所がベースロード用に発電するクリーン電力の売買に関しては、首長国水電力公社(EWEC)が2016年、全量を今後60年にわたり購入する契約(PPA)をバラカ・ワン社と締結した。
バラカ・ワン社はENECの子会社で、建設プロジェクトの財務・商業活動を担当している。
また、アブダビ首長国で送電インフラを保有・維持している送電送水会社(TRANSCO)も引き続きEWECに協力、UAE全土への安全かつ持続的な送電を保証する方針である。
ENECのM.I.アルハマディCEOは、「バラカ原子力発電所はUAEの持続可能な発電設備であり、1号機で営業運転開始後、1年たたない内に2号機の営業運転を開始できたことは、UAEに巨大プロジェクトの実施能力が備わっていることを証明した」と強調。
「UAEは世界で最も厳しい安全基準を満たせるような」知識基盤を構築しただけでなく、実証済みの技術である原子力で電源ミックスの多様化を検討中の国々に対しては、導入を成功に導くケース・スタディをもたらした」と表明している。
(参照資料:ENECの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
【情報提供:原子力産業新聞】
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