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[米国] 米国で原子力への税額控除を盛り込んだ「インフレ抑制法」が成立

2022年8月19日

米国のJ.バイデン大統領は8月16日、原子力に対する税制優遇措置等を含めた気候変動対策や、高齢者の医療費負担軽減などを盛り込んだ「インフレ抑制法案(H.R.5376)(IRA of 2022)」に署名、これにより同法案は正式に成立した。
インフレ抑制法案の審議では議会上院が7日付けで可決したのに続き、下院も12日に220対207の賛成多数で可決していた。


総額で約4,370億ドルの歳出をともなうインフレ抑制法では、約3,690億ドルが「エネルギーの供給保証と気候変動対策への投資」に充てられており、CO2を排出しない原子力については、2024年以降に発電/販売される電力量に新たな税制優遇措置を適用。
多数の先進的原子炉設計で利用が見込まれているHALEU燃料[1]については、その入手が一層簡便になるよう努力するとともに、エネルギー省(DOE)傘下の国立研究所におけるインフラ整備に一層の予算措置を講じることになった。


米原子力エネルギー協会(NEI)のM.コースニック理事長は、大統領の署名に先立つ12日に声明文を発表。
そのなかで、「米国でクリーンエネルギー経済への移行を促進する重要法案であり、この移行にともなう原子力の重要性を示す明確なメッセージになった」と指摘した。


同理事長によると、インフレ抑制法では既存の大型炉や今後建設される先進的原子炉、およびHALEU燃料や水素製造に対する投資と税額控除が明記されており、原子力発電は安定した電力供給の基盤を形成する電源として、その他のクリーンエネルギーと平等の扱いを受けることになる。


同理事長の認識では、クリーンエネルギーへの需要が高まるなか、電気事業者やその他の関係企業が脱炭素化の目標達成に新たな原子炉が有効である点に注目。
クリーンエネルギーへの投資条項を含んだインフレ抑制法が成立したことで、投資家は既存の原子炉のみならず、新たに建設される原子炉に対しても投資がし易くなる。
各国で同様の傾向にあり、気候変動関係の目標達成のみならず、確実なエネルギー供給に向けて新たな原子炉の建設が検討されている。


同理事長としては、今後も議会の政策立案者と協力して働く考えであり、原子力が「公正で安価なエネルギーへの移行」を進める原動力であり続けられるよう保証していきたいとしている。


また、DOEのJ.グランホルム長官も12日付けで声明を公表しており、同法によって米国は2030年までにCO2排出量を半減させる規模とペースで、クリーンエネルギー源を建設できると指摘。
「バイデン大統領は超党派のインフラ投資法や、半導体の国内生産を支援するCHIPS法を可決・成立させたのに続き、今回のインフレ抑制法で米国がクリーンエネルギーの世界市場をリードしていけるよう導いた」と述べた。


当然のことながら、これを実現するには同法の条項を効果的に実行する必要があり、グランホルム長官は「米国民がクリーンエネルギー経済への移行を成し遂げて国家のエネルギー供給を強化し、さらなるアクションに向けた推進力を構築できることを確信している」と強調した。


[1] U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン


(参照資料:米国議会、DOE、NEIの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月15日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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