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[スウェーデン] スウェーデンの新政権4党 原子炉の新設と維持で合意

2022年10月21日

スウェーデンの9月の総選挙で新たに発足した中道右派連合の新政権は10月14日、同国南部のティード城で政策協議を行った結果、2026年までの政権期間中に新規原子炉の建設に向けて合計4,000億クローナ(5兆3,600億円)の投資対策を行うなど、具体的な原子力政策で合意した。


採算性の悪化から、国営バッテンフォール社が2019年末と2020年末に早期閉鎖したリングハルス原子力発電所の2基(PWRとBWR各1基、ともに90万kW級)についても、安全運転が可能な状態であれば再稼働させるとしており、そのための徹底調査を速やかに実施する。
環境法に記されている関連の禁止条項(新たなサイトにおける原子炉の建設禁止、同時に運転可能な原子炉の基数は10基まで、閉鎖済み原子炉の再稼働は禁止)についても、撤廃する方針を今回の「ティード合意」の中で明確に示している。


今回の総選挙で、前政権の社会民主党は第一党の座を維持したものの、右派勢力である穏健党、キリスト教民主党、自由党の3政党の連立による新政権、および閣外協力する極右スウェーデン民主党の合計議席は、左派連合を僅差で上回った。
新首相には穏健党のU.クリステション党首が今月17日付で選出されており、同国の政権は8年ぶりに右派勢力側に戻ったことになる。


この8年の間に社会民主党政権は、「責任のあるやり方で2040年までに再生可能エネルギー100%のエネルギー供給システムに移行する」ための政策を取っており、2014年のエネルギー政策合意の中で「原子力発電は将来的に全廃し、再生可能エネルギーとエネルギーの効率化で代替する」方針を表明。
既存炉の建て替えに向けて予備調査を始めていた電力大手のバッテンフォール社に対しては、作業の中止を指示していた。


今回の「ティード合意」で、4党は地球温暖化防止のための長期政策や電力の安定供給など、6分野の重要項目について協力していくことで合意している。
エネルギー政策における新たな目標としては、前政権が目指していた「再エネ100%のエネルギー供給システム」を「非化石燃料100%のシステム」に変更。
この目標を達成するため、エネルギー技術の選択においては再エネのみに限定せず原子力も選択肢に加えた中立的方針を復活させる考えだ。


新たな原子炉建設に関しては、政府の特別借款4,000億クローナを通じて投資環境を整えていくほか、クリーンエネルギーに対する既存の信用保証制度を原子炉新設にも適用できるよう見直しを行う。
政治的理由によって既存炉が閉鎖させられることを防ぐため、必要な法改正も行う。


また、スウェーデン国内で小型モジュール炉(SMR)の建設と運転を可能にするため、規制面の条件整備を早急に実施する。
建設にともなう許認可手続きの合理化と迅速化に向けて、環境法に新規則を導入し担当部局を一つに限定。
指定を受けた同部局が、関係事項ごとに他の部局との調整を図る。
さらに原子炉新設にともなう高額な申請費用を見直し、必要であれば環境影響面の審査を担当する国土環境裁判所に追加の予算を付け、審査の迅速化を図るとしている。


なお、バッテンフォール社に対しては、閉鎖済みのリングハルス発電所サイトやその他の適切なサイトで、新規原子炉の建設計画を速やかに策定するよう指示する方針である。


(参照資料:キリスト教民主党穏健党の発表資料(スウェーデン語)、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月17日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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