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[米国] 米クリントン、ドレスデン両発電所で20年の運転期間延長へ

2022年11月11日

米国のコンステレーション・エナジー社は10月31日、イリノイ州内で保有するクリントン原子力発電所(BWR、109.8万kW)とドレスデン原子力発電所(2、3号機、各BWR、91.2万kW、1号機は閉鎖済み)の運転期間を、それぞれ20年延長する方針を表明した。
原子力規制委員会(NRC)への申請は、ともに2024年を予定している。


1987年に営業運転を開始したクリントン発電所は2027年4月に40年目を迎えるため、初回となる今回の運転期間延長申請がNRCに認められれば2047年まで運転継続が可能となる。
一方のドレスデン2、3号機ではすでに初回の延長が認められており、現在の運転認可は2029年と2031年まで有効。
2回目の運転期間延長により、両プラントは2049年と2051年までそれぞれ80年間運転を継続できることになる。


米国最大の無炭素電力の発電企業であるコンステレーション社は、原子力のほかに水力や風力、太陽光などの発電設備を保有。
米国全体で生産する無炭素電力の約10%を賄っている。
同社によると、運転期間の延長にともなう両発電所の無炭素電力は、イリノイ州の経済に数十億ドル規模の貢献をするほか、200万戸以上の世帯が必要とする電力量を継続的に供給。
同州政府が目標としている「2050年までに州内のエネルギー源を100%クリーン化」の達成にも貢献する。


クリントン原子力発電所については2016年6月、当時コンステレーション社の親会社であったエクセロン社が経済性の悪化を理由に2017年6月に早期閉鎖する方針を固めていたが、同年12月にイリノイ州ではCO2を排出しない原子力発電所への財政支援措置を盛り込んだ州法が成立。
同発電所はエクセロン社のクアド・シティーズ原子力発電所とともに、その後少なくとも10年間の運転継続が可能になった。


同州ではまた、2021年9月にエネルギー部門と輸送部門の段階的な脱炭素化を目指し、クリーンエネルギー関係産業における雇用の創出促進を定めた「気候変動・雇用機会均等法」が成立している。


今回、2つの発電所の運転期間延長を決めた理由についてコンステレーション社は、「環境影響面と経済面における原子力の価値を認める法律が州政府と連邦政府の両方で成立したため」と説明。
クリントンとドレスデンの両原子力発電所は、2つの州法を通じてゼロ炭素クレジットの形で州政府から財政支援を受けるほか、連邦政府レベルでは今年8月、原子力発電所に対する税制優遇措置を盛り込んだ「インフレ抑制法(IRA)」が成立し、少なくとも9年間運転継続する上での支援が得られるとしている。


同社によると、これら2つの原子力発電所では運転開始以降、新たな機器を導入し18か月毎の燃料交換時には予防保守も実行。
このような投資を継続的に行っているため、より一層安全で信頼性も向上しているとした。
また、過去10年間の平均稼働率は93%~95%をマークしており、最も信頼性の高い電源である点を強調している。


同社はさらに、イリノイ州においてこれらの発電所が経済的原動力となっている事実に言及。
同州のGDPに対してドレスデン発電所は年間約10億ドル、クリントン発電所は約5億5千万ドルの貢献をしていると述べた。


コンステレーション社のJ.ドミンゲス社長兼CEOは、「イリノイ州や全国レベルでCO2の排出量を実質ゼロ化するには、活用可能な無炭素電源をすべて稼働させねばならない」と指摘。
「運転期間の延長が認められれば、これらの原子力発電所は今後数十年にわたり、必要な時に必要な場所にクリーンエネルギーを供給できるという原子力の能力を実証する」としている。


なお、コンステレーション社は2012年に原子力発電大手のエクセロン社に合併吸収され、所有していた原子力発電所のいくつかはエクセロン社に経営統合された。
しかし、米国社会が無炭素な未来に向けて移行するなか、エクセロン社は今年1月、この移行を加速するのに最適の企業としてコンステレーション社を分離独立させると発表。
翌2月にはこの分離手続きが完了している。


(参照資料:コンステレーション・エナジー社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月31日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

【情報提供:原子力産業新聞

 

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