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[ブルガリア] ブルガリア 新しいエネルギー戦略に新規の原子炉建設を明記

2023年1月30日

ブルガリアのエネルギー省は1月17日、今年から2050年までをカバーする新しいエネルギー戦略を発表し、同国唯一の原子力発電所であるコズロドイ発電所(100万kWのロシア型PWR=VVER-1000の5、6号機のみ稼働中)と計画中のベレネ発電所で、原子炉を2基ずつ建設する方針を明確に示した。


ブルガリアの国民議会(一院制)ではこれに先立つ12日、コズロドイ発電所で原子炉を新設する計画について票決が行われ、同発電所にウェスチングハウス(WH)社製のAP1000を導入するため、米国政府と政府間協力協定(IGA)の締結交渉を開始する方針案が112対45、棄権39で可決された。
この方針に基づき、関係閣僚らは7号機の建設承認手続きと8号機の環境影響声明書作成の迅速化に必要な措置をすべて、3月1日までに講じることになった。


同省のR.フリストフ大臣によると、ブルガリアのエネルギー部門は昨年、120億kWh以上の電力を近隣諸国に輸出して約30億ユーロ(約4,200億円)の利益を得るなど、同国経済全体に大きく貢献。
このため、今後も同国が欧州の発電および電力輸出分野で主導的地位を維持するとともに、国家の安全保障やエネルギー供給を保証し、国内のエネルギー源を継続して活用していくことは同戦略における優先事項となる。
このことはまた、欧州連合(EU)が目指す「2050年までにカーボンニュートラルを達成」への貢献とエネルギーの安定供給は同戦略の主要事項だと説明している。


同相は具体的に、主力電源である褐炭火力を2030年まで継続的に使用するが、それ以降は使用量を徐々に減らしていき2038年で使用を停止すると表明。
EUの脱炭素化目標達成を阻まぬよう、あらゆる方策を通じてCO2の排出量を削減していくとした。
原子力を中心とする電源の新設もその一環であり、コズロドイ5、6号機が閉鎖された後の代替電源となる7、8号機を新たに建設するほか、2012年に一旦頓挫したベレネ原子力発電所計画を復活させ、新規に2基を建設するとした。
同相は、ブルガリアには原子力関係のインフラ設備のほかに、経験豊富な人材や認可済みのサイトなど、原子力開発に必要な条件はすべて整っていると強調している。


同国では現在、コズロドイ発電所の2基で総発電量の約35%を賄っている。
ロシアとの協力により、1980年代からベレネ原子力発電所(VVER-1000×2基、各100万kW)の建設計画を進めていたが、2012年当時のブルガリア政府はコスト高を理由に同計画を中止した。
その代わりとして、WH社製AP1000を採用した7号機の建設案を一時的に検討したが、資金不足のため進展せず、この件に関する関係者の合意は期限切れとなっていた。


その後2019年3月、ブルガリア電力公社(NEK)はベレネ計画を再開するため、戦略的投資家やプロジェクト企業への出資企業を国内外から募集すると発表。
同年12月にはエネルギー省が戦略的投資家の候補企業として、米GE社を含む外国企業5社に絞り込んでいる。


同国政府はまた、2019年11月に米国政府と原子力を含む様々なエネルギー分野の協力を拡大することで合意しており、翌2020年10月には米国政府と民生用原子力発電分野における戦略的協力を加速するため、了解覚書を締結。
コズロドイ7号機の建設については、閣僚会議が2021年1月、改めて検討する方針を承認していた。


(参照資料:ブルガリア政府(ブルガリア語)、ブルガリア議会の発表資料、原子力産業新聞・海外ニュース、およびWNAの1月19日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

 【情報提供:原子力産業新聞

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