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[フィンランド] フィンランドのロビーサ原子力発電所、70年超運転へ

2023年2月24日

フィンランドの経済雇用省は2月16日、フォータム社が同国南部で運転するロビーサ原子力発電所(ロシア型PWR=VVER-440×2基、各53.1万kW)に新たな運転認可を発給し、2050年末まで約70年間運転を継続することを承認した。


この判断は、今年1月にフィンランド放射線・原子力安全庁(STUK)が政府に提示した肯定的な見解に基づいている。
フォータム社は2022年3月、同発電所の2基について運転期間の延長を申請、STUKでは両機で広範な安全性評価を行った結果、これらが2050年まで安全に運転継続することは可能であり、フォータム社には法令が求める能力や競争力、財力も備わっていると判断していた。


ロビーサ1、2号機はそれぞれ1977年と1980年に送電を開始した。
VVERの公式運転期間は30年とされる。
2007年にフィンランド政府はSTUKの助言に従い、両機の運転期間をそれぞれ2027年と2030年まで20年間延長することを承認した。
2度目の延長となる今回の認可発給で、両機の運転期間はそれぞれ73年と70年になる見通しである。


経済雇用省によると、同発電所が発電する年間約80億kWhの電力はフィンランドにおける総電力需要の約10%に相当。
このため、これを継続利用することはフィンランドの電力供給力が強化され、電気料金の削減にも貢献する。
フォータム社では、今回認可された延長期間中に両機が発電する無炭素電力は合計1,700億kWhに達すると強調している。


フォータム社によると、ロビーサ発電所の運転期間延長に向けた投資は同社にとって、経済面や雇用面など広範囲でプラスに働く。
旧ソ連時代に建設されたVVERである両機では、安全系や制御系、自動化システムなどに西側諸国の技術を用いて改造されている。
また、安全性と操作性を向上させるため、同社は同発電所で設備のバックフィットを継続的に実施。
過去5年間に同社がこの改修工事で投じた総額は約3億ユーロ(約429億円)にのぼっており、2度目の運転期間延長申請を判断した際、同社は2050年までの運転継続にかかるコストを約10億ユーロ(約1,432億円)と見積もっていた。


フォータム社のM.ラウラモ社長兼CEOは今回の政府承認について、「当社にとって歓迎すべき判断というだけでなく、フィンランドがクリーンで豊かな将来を築く上でも重要だ」と指摘。
同国が意欲的な温暖化防止目標を達成し産業界の脱炭素化を図るには、クリーンな電力が大量に必要であり、再エネのように間欠性のある電源を追加設置しただけではカバーし切れない。
原子力による安定した電力供給はまた、北欧諸国の発電システムにおける太陽光や風力といった電源の設置拡大も可能にすると述べた。


同社長はまた、フォータム社の主要市場であるフィンランドとスウェーデンでは原子力に対する支持率が高く、同社はロビーサ発電所が立地するロビーサ市およびその周辺地域と良好な関係を保っているとした。
原子力発電所の運転期間延長と並行して、同社は現在、これら2つの国で新規の原子炉建設に向けた経済性の評価等を実施中。
建設に必要な技術面や経済面、および社会面の前提条件について、来年までの予定で実行可能性を集中的に調査しており、フォータム社が新たな大規模投資を長期的に行う上で、このような条件整備が必要と説明している。


なお、フォータム社はロビーサ発電所の運転期間延長を申請した際、同発電所サイト内で操業している低・中ベル放射性廃棄物の処分場が2090年末まで利用可能となるよう申請している。
経済雇用省は現在、この件に関する審査を行っており、今春中に判断を下す見通し。
同発電所から発生する使用済燃料に関しては、フォータム社とティオリスーデン・ボイマ社(TVO)が共同出資するポシバ社が、2016年末からユーラヨキ地方のオルキルオト原子力発電所近郊で深地層処分場を建設中である。


(参照資料:フィンランド経済雇用省フォータム社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月16日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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