海外電力関連 トピックス情報

[カナダ] 加政府 SMRのサプライチェーン構築等で資金援助

2023年3月2日

カナダ政府は2月23日、小型モジュール炉(SMR)の商業化を支援するため、サプライチェーンの構築や燃料の確保、放射性廃棄物の安全な管理に資する研究開発プロジェクトに、今後4年間で総額2,960万加ドル(約29億6,200万円)の資金援助を実施すると発表した。


連邦政府の天然資源省(NRCan)は2018年、SMRをカナダ国内で開発・利用するだけでなく、将来世界のSMR市場で主導的地位を占めることを目指し、州政府や産業界、電気事業者などを交えた協議を10か月にわたって実施。
その結果をSMRの戦略ロードマップとして取りまとめており、2020年にはCO2排出量の削減と国内原子力産業の拡大を図るため、SMR開発の努力目標やSMRが発電分野で果たす役割などを示したSMR行動計画を公表している。


政府は今回、2022会計年度(2022年4月~2023年3月)予算から支援金を拠出し、SMR開発・利用への支援を継続すると改めて表明。
カナダが世界のクリーンエネルギー開発でトップランナーに位置付けられるよう、同プログラムではニューブランズウィック州やサスカチュワン州などと同じく、各州の送電網の脱炭素化を推進する。
また、CO2を大量に排出する産業の脱炭素化も進め、遠隔地域のコミュニティに対してはディーゼル発電からSMRへの転換を促す方針である。


支援金として研究開発プロジェクト一件につき、期間や規模等に応じて平均50万加ドル~250万加ドル(約5,000万円~2億5,000万円)を交付する予定。
原則として総コストの75%まで、500万加ドル(約5億円)を上限とする。
受給資格は営利・非営利を問わず、カナダ国内で登録された電気事業者やその他企業、州政府や地方自治体、大学および学術機関など。
申請書の受け付けは4月7日までとなっている。


今回の政府発表によると、カナダが低炭素経済に移行するには、クリーンで低価格な電力の需要拡大のため、原子力のようにCO2を排出しない安全で安定した発電技術も含め、様々な無炭素エネルギー源が必要である。
その中でも、次世代の原子力技術は重要な役割を担っており、中でも従来の大型炉と比べて構造がシンプルで操作し易く、安価なSMRは大いに貢献すると見込まれる。


連邦政府はすでに、地球温暖化の影響緩和を目的としたSMR開発の支援活動を行っており、カナダ・インフラストラクチャー銀行(CIB)は2022年10月、オンタリオ州のダーリントン原子力発電所で世界初のSMRを建設するというプロジェクトに過去最高規模の9億7,000万加ドル(約970億円)の融資を約束した。


今月6日には、政府機関のカナダ自然科学・工学研究会議(NSERC)がNRCanとの協力により、独自の補助金プログラムの下でSMR開発プロジェクトを募集すると発表。
サプライチェーンの構築や廃棄物の管理に取り組む大学からの申請に資金を提供するとしており、次世代の原子力技術者の養成や大学の能力拡大などで、NRCanの今回の資金援助プログラムを補完する。


(参照資料:NRCanの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月24日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)
 

【情報提供:原子力産業新聞

公式Twitterアカウントのご案内

海外電力関連 トピックス情報は、以下の電気事業連合会オフィシャルTwitterアカウントにて更新情報をお知らせしております。ぜひ、ご覧いただくとともにフォローをお願いいたします。

海外諸国の電気事業

 

米国

 

カナダ

 

フランス

 

ドイツ

 

イタリア

 

スペイン

 

英国

 

ロシア

 

スウェーデン

 

中国

 

インド

 

韓国

ページトップへ