海外電力関連 トピックス情報

[英国] HALEU製造工場を2031年までに操業へ

2024年5月24日

英政府は5月8日、英国に本拠地を置く濃縮事業者のウレンコ社に1.96億ポンド(約382.9億円)を拠出し、年間最大10トンのHALEU燃料の製造能力を有するウラン濃縮工場の建設を支援すると発表した。
新工場は2031年までに操業開始する予定だ。


英エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)によると、新工場はイングランド北西部チェシャー州にあるウレンコ社のカーペンハースト・サイトに建設され、約400人の雇用を生み出すという。
ウレンコ社は、英政府、オランダ政府、ドイツの電力会社2社(E.ON社とRWE社)が各3分の1を所有している。


HALEU燃料は、現在開発中の先進炉の多くで採用されている新型燃料。
先進炉は早くて2030年代初めに稼働する予定だが、欧州初のHALEU燃料の製造工場の建設により国内外の先進炉への燃料供給が可能となり、同盟国のエネルギー安全保障を強化するとともに、HALEU燃料を唯一、商業規模で生産するロシアへの依存を回避することができる。
なお、10トンのHALEU燃料は、100万トン以上の石炭に匹敵するエネルギーを生み出す。
英国のR.スナク首相は、新工場の建設は英国の原子力とエネルギー安全保障の確保に不可欠であると指摘している。


今回の資金拠出は、今年1月に発表された総額3億ポンド(約586億円)のHALEU製造計画の一部であり、DESNZは、残りの資金は再転換事業への支援などのために今年後半に割り当てるとしている。
この計画は、昨年12月のCOP28における“札幌5”(カナダ、日本、フランス、英国、米国)によるウラン濃縮と転換能力の拡大に向けたコミットメントに基づく。


米国もHALEU燃料の国内供給に向けた取り組みを進めている。
2023年11月、セントラス・エナジー社は、オハイオ州パイクトンのポーツマス・サイトにある同社のアメリカン遠心分離濃縮プラント(ACP)で製造された最初のHALEU燃料20kgを米国エネルギー省(DOE)に初納入した。
16台の新型遠心分離機を連結した新しいカスケードの建設はDOEとの契約の下で2019年に始まり、契約の第1段階を完了。
現在、第2段階の年間900kgのHALEU製造に移行している。


仏オラノ社は2023年9月、フランス南部トリカスタンのジョルジュ・ベスII(GB-II)濃縮工場の生産能力を30%以上増強する計画を明らかにし、同工場でHALEU燃料を製造するための規制手続きを開始したと発表している。


※ U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン

 

【情報提供:原子力産業新聞

 

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