原子炉の中では、核分裂が起きています。核分裂を起こすには、中性子のスピードを減速させる減速材が必要です。また、核分裂によって発生した熱を取り出す冷却材も必要です。日本の原子炉(軽水炉)では減速材と冷却材に「水」を使用しています。軽水炉の場合、核分裂が盛んになって出力が上昇しても、燃料や水の物理現象によって核分裂が抑制されます。この働きを「自己制御性」といいます。
自己制御性は、ドップラー効果とボイド効果という2つの物理現象から成り立っています。
日本原子力文化財団/原子力・エネルギー図面集
5重の壁で放射性物質を閉じ込める
原子力発電所では、放射性物質を閉じ込め、外へ出さないために、「5重の壁」というしくみがあります。
原子力発電所で発生する放射性物質のほとんどは、ウラン235が核分裂した際に発生します。これらは密閉された燃料棒の中で起こるため、ほとんどの放射性物質はペレットの中に閉じ込められます。さらにペレットを覆う被覆管によって放射性物質を燃料棒の外に出さないようにしています。
東京電力(株)福島第一原子力発電所のような過酷事故の際には、原子炉格納容器の破損を防ぐため、ベントが必要をなる場合がありますが、その場合にも、「フィルタ・ベント」等の設置により、外部へ放出する放射性物質の量を低いレベルとしています。