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2025年1月17日に開催した電事連会長定例記者会見において、弊会会長の林から

2025年の抱負

についてお話ししました。

2025年の抱負

電気事業連合会の林です。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。

昨年は元日に能登半島地震がありました。大変な幕あけとなりましたが、今年は今のところ大きな災害や設備トラブルはなく、電力需給も安定しております。概ね、清々しく、穏やかな年明けを迎えられたものと思っております。

さて、本日は新年最初の会見ということもあり、今年の抱負について申し上げます。昨年末の会見でもお話ししましたが、今年は「歩みを確かなものとして、実行に移す年」にしていきたいと考えております。

現在、わが国は国内投資が伸び悩み、世界における経済的地位も残念ながら後退しております。こうした状況を打破するために、GX実現に向けた新たな技術革新や、DXによって高度化された製造業のサプライチェーンにより、高い付加価値を生み出す産業構造を構築する必要があります。そのためには、経済安全保障を確立し、世界市場での戦いにおいて、後塵を拝することなく、取り組みを進めることが重要です。その基盤として、強靭なエネルギー供給の整備、そして、十分な資源の確保が求められております。

また、脱炭素化に向けては、世界規模での連携はもちろん、とりわけアジアにおいて、AZECのような枠組みなどを通じて、わが国がリーダーシップを発揮していくことが求められております。日本の技術力を活かし、国際貢献していくことは、地球規模での実効ある脱炭素化を進めていくことにつながります。今こそ、官民が一体となって、国をあげて取り組んでいく必要があると考えております。

こうしたわが国の状況を踏まえまして、年末にはご存じのとおり、エネルギー基本計画の案と、GX2040ビジョンが打ち出されました。その中で、エネルギー安全保障と安定供給を第一に据え、不確実性がある中でも、電力需要が大きく伸びていく環境において、特定の電源や燃料に過度に依存することなく、バランスを重視したリアリティのある方針が打ち出されたものと考えております。また、再エネの進展度合いに応じたリスクシナリオも追加されており、その対策として、LNG確保の重要性にも言及されるなど、経済成長と脱炭素化を見据えた柔軟な検討も示されました。今後は、これをいかにして実行に移していくかが、大変重要なことだと考えております。

事業者としては、日々の安定供給の使命を果たしながら、中長期的に脱炭素化を進め、将来に向けた供給力を確保していく所存であります。そのためには、再エネの普及拡大、原子力の最大限の利用、火力の脱炭素化等、あらゆる手段を、全力で、投入してまいります。原子力については、安全を大前提に、稼働しているプラントの安定稼働、さらなる再稼働を進めてまいります。また、今回のエネ基の案には入りませんでしたが、将来にわたり、サプライチェーンをしっかりと維持していくためには、国としての開発規模の目標を持つべきであると考えております。いずれは、新増設も必要になってくると考えております。

今年は、新たなエネ基のもとで、制度設計の具体化の議論が本格化してきますが、安定供給と経済成長、脱炭素化の同時達成に向けて、電源開発のリードタイムも踏まえた、長期的な視点で供給力確保を可能とする制度措置を固めていく必要があります。

具体的には、事業期間中の市場環境の変化に伴う収入・費用の変動に対応できるよう、既存の長期脱炭素電源オークションの見直しや、新たな制度措置を行うことなどが必要になります。

また、脱炭素化等に向けた、原子力をはじめとする大規模な電源の事業環境整備につきましては、ファイナンス環境の整備も大変重要になってくるものと考えております。投資家や金融機関から見ても、資金を投じる価値がある環境とするためには、エネ基でも明記されております、公的な信用補完や、政府の信用を活用した融資等の方策を実現していただくことが必要です。事業者が円滑な資金調達を行う上で、実効的な仕組みとなるよう、投資回収の予見性向上とあわせた検討が必要になると考えております。

また、成長志向型カーボンプライシング構想の一環であるGX-ETSが2026年度から本格導入されますが、制度の導入までの期間が短いため、すぐに電源構成を変更することは困難な状況にあります。その状況において、事業者に過度な負担が発生してしまうと、脱炭素化のために必要となる投資の機会、投資の原資を喪失してしまう可能性もあります。その影響で、主要産業の海外流出が増加する恐れもあることなどから、トランジションの観点も踏まえた慎重な制度設計が必要になるものと考えております。

加えて、2028年度から導入される化石燃料賦課金との二重負担防止の観点や、2033年度から導入される有償オークションについて、エネルギー間の公平性の観点を踏まえた対象事業者の拡大についても、丁寧な議論が必要であると考えております。

こうした政策の具体化に向けた今後の検討について、事業者としても議論にしっかりと協力し、よりよい制度設計につなげてまいりたいと考えております。

その他、昨年工程を見直した、六ヶ所再処理工場のしゅん工に向けた取り組みや、使用済燃料対策、最終処分の推進等、バックエンドも含め、取り組むべき課題は山積しております。引き続き、我々の業界はもちろん、メーカーなどの産業界も含めて、一丸となって取り組んでいきたいと思っております。

また、今年は大阪・関西万博が開催されます。すでに、開幕まで残り100日を切りました。電気事業連合会からは、「エネルギーの可能性で未来を切りひらき、いのち輝く社会の実現へ」をテーマに、「電力館 可能性のタマゴたち」を出展します。20年ぶりに日本で開催されるこの万博に、多くの方々の来場を期待するとともに、一人でも多くの子どもたちに、電力館で未来のエネルギーについて考えてもらいたいと思います。

本日、私からは以上であります。

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会見要旨