原子力小委員会で示された「今後の原子力政策の方向性と行動指針改正案」について

今回の改正案には、これまで事業者として繰り返し求めておりました「原子力の将来の開発規模・見通し」、これが初めて盛り込まれました。

具体的には2040年以降、原子力の設備容量が大きく減少する見通しがある中で、2040年代迄に約220万kW~550万kW、そして、2050年代迄には約1,270万kW~1,600万kWを目指していくというものでございます。これは、国として、将来にわたり原子力を活用していくという力強いメッセージであり、極めて重要な一歩を踏み出していただいたと考えております。検討に携わった関係者の皆さまに改めて敬意を表したいと思います。

今後、この方針を一つの羅針盤として、原子力事業全体の人材やサプライチェーン、さらには必要な技術力の維持・確保に向けた好循環が生まれていくものと考えております。そのためにも、この方針を絵にかいた餅とすることのないように、産官学で一体となり、実現に向けて取組みを速やかに進めていくことが重要であります。事業者としても、最大限取り組んでまいります。

一方、行動指針にも示されているとおり、原子力の最大限の活用に向けては、安全を大前提に、足元で既設炉の再稼働を加速させ、安定稼働させていく、これも大変重要な取組みであります。

事業者としては、現在、オンラインメンテナンスの実施や、運転期間の柔軟化に向けた取組みをはじめ、原子力発電の運用の高度化によって、プラントの安全性や品質を向上させる取組みを進めております。

具体的には、資料の2ページに記載しておりますが、定期検査中の作業の輻輳回避、あるいは、作業負荷を平準化することで、熟練作業員を適正に配置することなどに取り組んでおります。これにより、熟練作業員の確保や技能継承、これらにつながり、プラントの安全性、信頼性が向上するということになります。その結果として、安定的な電力供給、ひいては原子力の利用率の維持・向上にもつながるものと考えております。

また、現在稼働している多くのプラントは、運転期間が30年から50年を経過しております。高経年化への対応を進めていく必要があります。

資料の3ページをご覧ください。これまでも各社においては、高経年化対策を順次進めておりますが、共通の技術的課題への対応を体系的かつ戦略的に行うため、2022年にATENAにワーキンググループを設置いたしました。より実効的な取組みとなるよう検討を進めております。

また、資料の4ページに記載しておりますが、次世代革新炉の開発・建設に向けては、関西電力美浜原子力発電所において、地質調査を開始しています。さらに、革新軽水炉の規制予見性を向上させるために、2024年12月から、規制当局と革新軽水炉を題材とした意見交換も実施しております。こうした取組みを着実に進めていくことが重要であります。

加えて、原子力の建替えを進めるにあたっても、多額の費用が必要となります。これまでも国の審議会等で指摘されているとおり、電力業界の設備投資額は過去のピークを超える状況が継続する可能性がございます。一方で、震災以降、自由化による競争の進展もあり、電力各社のフリーキャッシュフローは低い水準にあります。

今後、発電所の建替えに向けて、新規投資を促進するためには円滑なファイナンスが可能となる事業環境整備や、投資回収の予見性確保、さらには事業者が、事業の収益性を確保して、原子力事業が魅力あるものとなるよう、制度を構築していくことが不可欠であります。国におかれましてはスピード感をもって、これら制度の具体化を進めていただきたいと思います。

なお、今後、電力需要が増加する蓋然性が高い中、持続的に原子力を活用していくためには、将来的には、原子力の新増設も必要になってくるのではないか、と考えております。国においては、次期エネルギー基本計画の議論の際に、この点についても改めて検討いただきたいと思います。

【最後に】6/18に開催された第9回の使用済燃料対策協議会について

現地で取材された方も多いかと思いますが、今回の協議会におきましては、まず事業者から各社の使用済燃料対策の取組状況、あるいは、日本原燃の設工認審査の対応状況、これらについて、説明を行いました。

それを受けて、赤澤経産大臣からは、日本原燃のしゅん工に向けて、本協議会を活用した進捗管理や人材確保について要請がございました。また、青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守するために必要な具体的取組について、報告するようご要請がございました。

これらのご要請は事業者としても極めて重要な事項と考えており、赤澤経産大臣には、会議の場でも、これらの共通の課題について、事業者間でしっかり連携・協力していく考えをお伝えしております。

引き続き、業界一丸となって、最終処分も含めた原子燃料サイクル事業の着実な推進に向けた取組みを進めてまいります。