【定例会見】中長期的な需給見通しと供給力確保に向けた施策について
中長期的な需給見通しと供給力確保に向けた施策について
これから本格的な夏を迎えます。まず、先般もお伝えしております通り、この夏の電力需給については、全てのエリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を上回る見通しとなっております。
この見通しは、東京エリアにおいて一般送配電事業者が実施した最大120万kWの追加供給力公募(kW公募)により、約100万kWの供給力を確保したことなどを踏まえたものであり、現時点では、今夏の電力の安定供給に支障はないものと考えております。
引き続き、大型電源の計画外停止や、想定を上回る電力需要の増加など、需給に影響を及ぼし得るあらゆる事態を想定しながら、この夏の安定供給の確保に向けて最大限取り組んでまいります。
一方で、中期的な需給に目を転じますと、先月開催された「調整力等委員会」において、中長期の電力需給見通しが議論されております。この試算は、一定の前提条件を置いたものであり、需要・供給の双方に変動要素があることに留意が必要です。しかしながら、2029年度の東京・東北エリアについては、10年に1回程度の厳しい気象条件による高い電力需要(厳気象H1需要)を想定した場合、安定供給に最低限必要とされる予備率3%を下回る、1.6%となる厳しい見通しが示されております。
さらに、長期的な視点で見ますと、ご案内のとおり、広域機関が昨年7月に公表した「将来の電力需給シナリオに関する検討会」の取りまとめでは、2040年、2050年の断面において、再生可能エネルギーの導入拡大や原子力の活用、火力発電所のリプレースを進めたとしても、なお、必要な供給力が不足する可能性が示されております。
このように、中期・長期の需給見通しはいずれも厳しい状況であり、私ども事業者としても強い危機感を持って受け止めております。事業者として、発電設備の適切な保全や燃料の安定調達を徹底し、将来にわたる電力の安定供給の確保に向けて、全力で取り組んでまいります。
こうした状況を踏まえると、中長期的な安定供給を支えるための環境整備も、極めて重要であると考えております。
本日、電気事業法の一部を改正する法律が成立しました。今回の改正は大きく3つの観点、すなわち「大規模送電線・大規模電源の整備の促進等」、「電気事業の安定的・持続的な発展のための環境整備」、「太陽電池発電設備等の安全性向上」、を柱とするものです。
具体的には、政府の信用力を活用して、大規模な電源投資や送配電網の整備を後押しする融資制度の創設や、小売電気事業の事業環境整備、電力取引の促進、メガソーラーの監視を強化するための仕組みの新設などが盛り込まれております。
私どもとしては、中長期的な安定供給を確保していくためには、事業者が将来を見据えて必要な投資に踏み切ることができるとともに、安定的・持続的に事業活動を行うことのできる事業環境を整えていくことが重要であると考えております。また、太陽光発電設備等の安全性向上を含む、電力システム全体の信頼性・安全性を高めていくことも、安定供給を支える重要な取り組みであると考えております。
そうした観点から、今回の改正には非常に意義のある内容が盛り込まれているものと受け止めております。
詳細な制度設計については、今後、議論が進められるものと承知しておりますが、今回の改正の趣旨を踏まえ、実効性のある制度となるよう、速やかに検討が進められることを期待しております。
事業者といたしましても、電力設備の整備等を着実に進めるとともに、引き続き、電力の安定供給の維持・確保に努めてまいります。
また、中長期的な安定供給を支える施策としては、来年1月に行われる第4回目の「長期脱炭素電源オークション」に向けた、制度の見直しについても、国の審議会において議論が進められております。
将来にわたり必要な供給力を確保していくためには、再生可能エネルギーや原子力の最大限の活用に加え、脱炭素を前提とした火力による供給力の確保にも、取り組んでいく必要があると考えております。
先ほど申し上げた広域機関による将来の需給シナリオ検討では、2040年に電力需要が1兆1,000億kWhまで増大した場合においても安定供給を確保するためには、LNG火力の新設・リプレースが当面必要不可欠であるとされております。
こうした検討結果も踏まえ、第4回オークションにおいては、2040年までに3,900万から5,500万kW程度のLNG専焼火力の新設・リプレースを目指す方針が示されています。
その実現に向けて、2026年度から2032年度までの7年間で合計3,900万から5,500万kW程度、毎年度550万から800万kW程度の募集枠を設けることとされております。
私ども業界としても、将来の安定供給を確保していくためには、将来の需給シナリオを踏まえた長期的な視点での募集枠の設定が必要であると、これまでも繰り返し申し上げてまいりました。
今回、LNG火力の重要性が改めて明確化され、支援の方向性が示されたことは、事業者にとっての投資予見性を確保する観点からも、大変意義があるものと受け止めております。
一方で、電源投資を取り巻く環境は、インフレや円安による建設コストの上昇に加え、メーカーの設計・製造能力や建設工事を担う人材の不足など、さまざまな要因によって大きく変化し得るものです。審議会においては、上限価格の見直しなどについても議論されているものと承知しておりますが、引き続き、足元の投資環境を十分に踏まえ、必要に応じて柔軟な見直しを行っていくことが重要であると考えております。
私ども事業者としても、長期脱炭素電源オークションなどを通じた制度の充実に向け、引き続き必要となる検証や制度設計の議論に協力しながら、将来にわたる安定供給の確保と脱炭素化の両立に向けて、しっかりと取り組んでまいります。


























