能登半島地震を踏まえた原子力発電所の安全性向上の取り組みについて
2024年7月17日
電気事業連合会
2024年1月1日に発生しました能登半島地震により亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
今回の地震により、北陸電力志賀原子力発電所において、いくつかの設備トラブルはありましたが、「止める・冷やす・閉じ込める」ための機能は維持され、安全性は確保されました。
しかしながら、北陸電力においては、今回発生した設備トラブルの原因等を分析の上、さらなる安全性向上に向けた取り組みを実施していく予定です。
原子力事業者としても、原子力発電所のさらなる安全性向上に向けて、様々な知見や気付きを踏まえて、改善の取り組みを進めることが大変重要であると考えております。
このため、電事連およびATENAでは、本年2月より、原子力事業者やメーカーと連携しながら、今回の地震による原子力発電所への影響に係る検証を実施してまいりましたが、このたび、以下のとおり結果を取りまとめております。
【検証結果の概要】
◆検証項目1:地震や津波の検証
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現時点において、従前の地震動・津波評価と整合しており、原子力発電所の地震動・津波評価の見直しを要する喫緊の課題は無いことが確認できた。
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今後も、自主的に各種研究機関の分析・評価等の情報収集を継続する。
◆検証項目2:発電所設備への影響の検証
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変圧器をはじめとした志賀原子力発電所における設備の故障、不具合事例を検証した結果、複数の課題を抽出し、対応方針を取りまとめた。
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今後は、今回ATENAを中心に取りまとめた方針に従い、各社はそれぞれの設備や運用に応じた対策を進める。具体的には、ATENAが各社に対して対策の実施及び実施計画の策定を要求し、各社は、策定した計画に基づき取り組みを進めていく。
◆検証項目3:現場状況の確認や情報発信の検証
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現場の状況把握から情報発信までの一連の流れについて整理・分析した結果、課題・良好事例を抽出し、適切な状況確認や情報発信に係る対応方針を取りまとめた。
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今後は、電事連において情報収集等に関する標準的なガイドを作成・水平展開する。
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情報発信について、各社はステークホルダーの要求を踏まえた情報発信を徹底・継続するとともに、電事連は第三者の立場から客観的な発信を行うなど、誤った情報拡散の抑制などに資する運用を検討していく。
原子力事業者といたしましては、引き続き、耐震安全性評価等に反映すべき最新情報等が確認された場合には、得られた知見を原子力事業者で共有し、安全対策の検討に活用していくことで、さらなる安全性向上に努めてまいります。
また、新規制基準への的確な対応はもとより、ATENAのみならず、JANSIや電力中央研究所・原子力リスク研究センターなど、関係機関とも連携し、産業界一丸となって、より高い次元の安全性確保に向けた取り組みを進めてまいります。
添付資料
以上