2005年5月23日
電気事業連合会
中央電力協議会

わが国の電気事業では今年度から、卸電力取引所や電力系統利用協議会の本格運用、小売自由化範囲の拡大など、市場原理の一層の活用を目指した新たな制度がスタートしました。こうした状況変化をふまえ、電力各社は、コスト削減やお客さまにとって利便性の高い技術開発に積極的に取り組んでいます。

こうした各社独自の取り組みに加え、電力の安定供給の確保や環境保全といった公益的課題に資する技術開発については、共同研究や国の研究開発プロジェジェクトへの参画など、効率的かつ着実に取り組むこととしています。

今年度の主な取り組みは以下のとおり、引き続き、安全確保を大前提とした原子力発電の経済性の一層の向上や原子燃料サイクルの確立に向けた原子力関連技術の開発をはじめ、石炭ガス化複合発電(IGCC)、ヒートポンプの効率向上のための技術開発などを積極的に推進してまいります。

1.安全を前提とした電力の安定供給の確保と環境保全のための技術開発

(1)軽水炉関連技術
基幹電源としての役割を果たすため、原子力発電を支える軽水炉関連技術として、安全確保を大前提に、経済性の一層の向上に資する技術開発、軽水炉時代の長期化に対応した技術開発を進めます。

(2)原子燃料サイクル体系の確立に向けた技術開発
原子燃料サイクルの確立に向けて、ウラン濃縮、再処理およびリサイクル燃料資源中間貯蔵など、原子燃料サイクル事業を支援するための技術開発を進めます。

(3)放射性廃棄物の合理的な処理処分の具体化に向けた技術開発
高レベル放射性廃棄物をはじめとする全ての放射性廃棄物について早期に安全かつ効率的な処分が行えるよう、国の研究機関や日本原燃、原子力発電環境整備機構等の関係者と十分協議・協力し、必要な技術開発を進めます。また、原子炉廃止措置については、2005年度通常国会で原子炉等規制法におけるクリアランスレベル法制化および廃止処置安全規制の枠組みの改定が行なわれました。これをふまえて、法改正後の技術基準として、廃止措置で発生する放射性廃棄物の合理的な処理処分制度、民間規格の整備を検討します。

(4)高速増殖炉の実用化に向けた技術開発
高速増殖炉は、将来のエネルギーの有力な選択肢を確保しておく観点から着実にその開発に取り組みます。具体的には、核燃料サイクル開発機構が中心となって実施している「実用化戦略調査研究」に引き続き参画、協力してまいります。

(5)石炭ガス化複合発電(IGCC)
石炭ガス化複合発電は、石炭をガス化し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせ発電する方法で、従来の石炭火力(微粉炭方式)より高い46~48%程度(送電端)の発電効率が見込まれることから、電力が共同で開発に取り組んでいます。
現在は、商用機の1/2規模の実証機(1,700トン/日:250MW級)を開発・建設し、信頼性、経済性および運用特性を検証するための実証研究に取り組んでおり、2007年度から始まる運転試験に向け、実証機の建設を進めており、2005年度は主要機器の据付に着手します。

(6)高温形燃料電池
高温型燃料電池として高い発電効率が期待でき、石炭ガス化ガスなどの多様な燃料の利用や耐久性が期待できる固体酸化物形燃料電池(SOFC)を将来の高効率電源のひとつとして技術開発に取り組んでいます。これまで、数kW~20kW程度のモジュール開発に取り組んできました。2004年度からは、実用化に向け、より規模の大きな数10kW~数100kW級の発電システムの開発に着手しており、2005年度は、セル・モジュールの改良、システム設計などに取り組みます。

(7)系統安定化技術
分散型電源の普及拡大や電力系統利用者の増加に対応し、将来的にも電力品質を維持するために系統信頼度評価方法の開発や系統安定化に資する技術開発を推進しています。

(8)超電導技術
超電導技術は、電力系統安定性向上などが期待できる技術であることから、基盤となる超電導線材の開発を推進しつつ、超電導電力ネットワーク制御技術(SMES)などの実用化を推進しています。2004年度から、SMES実用化のためのシステム化開発と実系統に連系した実証研究に取り組んでおり、2005年度は、システム設計および実証機の製作に着手します。

2. お客さまニーズに応えるための技術開発

(1)低廉な電気をお届けするための技術
発電から流通までのあらゆる分野で、低廉な設備形成・保守運用の実現を目指した技術の開発・適用を、引き続き推進します。

(2)電気を効率よくお使い頂くための技術
電気の効率的利用、CO2削減による環境保全の双方に貢献する自然冷媒(CO2)のヒートポンプについて、さらなる効率の向上や寒冷地での利用拡大などに向けた技術開発を推進します。

以上