2010年までにリサイクル燃料資源中間貯蔵施設の実現を
1998年8月1日
平成10年6月、総合エネルギー調査会原子力部会は、原子燃料サイクルの使用済み燃料貯蔵問題について中間報告書を取りまとめました。これは、使用済燃料はプルトニウム等を含む有用な資源、いわば「リサイクル燃料」であるとの認識の下、国が今後早急に取り組むべき制度整備、電気事業者が着実に進めるべき対策などについて提言するものです。
使用済燃料の年間発生量は現在約900トンU程度。今後は発電量の増加に伴って2010年頃には毎年約1,400トンU、2,030年頃には毎年約1,900トンUの使用済燃料が発生することが見込まれています。他方、現在建設中の六ヶ所再処理施設は、年間再処理能力が800トンUであることから、長期的にみれば、貯蔵すべき使用済燃料の量は年毎に増大していくことになります。
従って、2010年頃から多くの発電所で使用済燃料貯蔵施設の増強についての対応に迫られる状況が予想され、『「リサイクル燃料中間貯蔵施設」の実現にむけての取り組みが不可欠である』と報告しています。
リサイクル燃料中間貯蔵施設の必要性
エネルギー資源に乏しい日本では、ウラン資源の有功利用、放射性廃棄物の適切な処理・処分の観点から、使用済燃料を再処理する原子燃料サイクル政策を選択しています。
これまで、イギリスやフランスに委託してきた使用済燃料の再処理は、1998年をもって5,610トンUの搬出が終了し、今後は、現在青森県六ヶ所村に建設中の再処理工場において、国内での民間サイクル事業を確立させることとになります。
ただし、六ヶ所再処理施設の能力と、原子力発電所内における現在の使用済燃料の貯蔵状況、今後の使用済燃料の発生見通しなどを総合的に勘案すると、2000年前後には貯蔵状況が逼迫することが予想されます。
そこで、発電所内において使用済燃料を貯蔵するという従来の方式に加えて、発電所外において使用済燃料を中間的に貯蔵することを目的とする施設が必要となります。しかも2010年までには利用できるようでなければなりません。その必要規模は、ネットベースで2010年においては6,000トンU、2020年には15,000トンUと試算されます。
また、再処理により原子力発電の燃料として使用可能な使用済燃料は、「リサイクル燃料資源」と呼べることから、以後この施設を「リサイクル燃料中間貯蔵施設」と呼びます。
安全性と事業法制のあり方、立地について
充分な技術と経験
日本は、原子力発電における使用済燃料の貯蔵に関して、30年以上にわたる実績と経験を有しており、プール及び金属キャスクによって使用済燃料を安全に貯蔵する技術とノウハウを充分に蓄積しています。
リサイクル燃料中間貯蔵施設は、静的、安定的にリサイクル燃料資源を貯蔵する施設であり、その貯蔵技術は原子力発電所におけるものと同一です。これまでの実績と経験によって安全に実施可能であることが明らかであり、特段の新技術は必要ありません。
事業者は他産業からも可能
リサイクル燃料中間貯蔵にあたっては、原子力発電所内の貯蔵と同様に、技術的能力を有する者が、国による安全審査により許可された施設において安全に遂行することが可能と考えられます。また、貯蔵事業は、電気事業者または電気事業者から委託を受けた民間事業者が行うものと考えます。
安全審査については、原子力発電所と同様の、原子炉等規制法に基づいた審査基準を適用することが適当です。審査を通過すれば、事業の主体としては、電気事業者のみならず倉庫業などの他産業の事業者、あるいは第3セクターも可能と考えられます。
地域との共生
リサイクル燃料中間貯蔵施設の立地に際しては、何よりも地域との共生が重要となります。電気事業者及び貯蔵事業者は、立地地域の将来像をふまえて、地域社会の一員として貢献に努める必要があります。
国としても、施設の実現の重要性にかんがみ、立地が円滑に進められるとともに、施設が地元地域の振興にも資することとなるような地域振興策を検討することが必要です。
貯蔵施設の必要時期を考慮すると、早期に立地点を確保していくことが極めて重要であるといえます。
以上


























