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[フランス] 仏規制当局、深地層処分場の安全性について肯定的見解

2018年1月30日

フランス原子力安全規制当局(ASN)は1月16日、高レベル放射性廃棄物(HLW)などを深地層処分する目的で計画されている施設「CIGRO」の安全性について、肯定的な最終見解を公表した。
廃棄物処分の事業主体である放射性廃棄物管理機関(ANDRA)は2016年4月、ASNに同施設建設計画の安全オプション文書(DOS)を提出しており、これを技術的側面から審査した結果、「DOS段階におけるCIGRO建設計画は全体として、技術的に十分成熟している」と結論付けた。
ただし、ビチューメン(アスファルト)を含んだ廃棄物については化学反応による発熱の可能性があるため、ANDRAが設置許可申請書(DAC)を2019年に提出する前に、追加研究や調査を実施するよう要求している。
CIGROでは、1万立方mのHLWと7万立方mの長寿命・中レベル放射性廃棄物(ILW-LL)を地下500mの深地層で少なくとも100年間、回収可能な状態で貯蔵する計画。
フランス東部のムーズ県とオートマルヌ県にまたがるビュール地区を含めた、30平方kmの圏内で建設することが2010年に決定しており、ANDRAは2020年代後半の操業試験実施と2030年代の事業許可取得を目指している。
建設と操業にかかる基準コストは、2016年1月にエコロジー・持続可能開発・エネルギー省(当時)が250億ユーロ(約3兆3,957億円)に改定。
これは、廃棄物の発生者であるフランス電力(EDF)とアレバ社および、原子力・代替エネルギー庁(CEA)が負担することになっている。
DOSは施設の安全性を確保する主要原則やアプローチを説明するための文書で、ANDRAはDOSを通じてASNから助言を得ることができ、DAC作成に役立てることになる。
CIGRO建設計画のDOSはまず、ASNの技術的支援機関であるフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が評価を行っており、2017年7月に肯定的な結論を明記した報告書を公表。
DOSはまた、国際原子力機関(IAEA)のコーディネートにより、諸外国の安全規制当局の専門家による審査も受けたとした。
ASNはこれらに基づく技術的評価段階の見解案を昨年8月から9月にかけて公開諮問に付しており、得られた意見を分析した上で、ASNとしての最終見解を今月11日付けで発表。
「これまでにASNに提出された文書と比べて、大幅な前進が見られた」との認識を示している。
しかしながら、DOSのいくつかの項目については補足が必要だとASNは指摘。
具体的には、処分建築物の妥当性証明や自然災害に耐え得る設計・サイジング、施設全体のモニタリング、事故が発生した場合の管理などについて補足説明を要求するとした。
ASNはまた、貯蔵予定廃棄物の約18%を占めるビチューメン廃棄物について条件を設けており、同廃棄物の封入パッケージの化学反応を中和する研究を優先的に行うべきだと指摘した。
現状では同廃棄物をCIGROに貯蔵することは出来ないので、この化学的発熱反応が暴走するリスクを除外するため、CIGROの設計変更調査も並行して実施する必要があると言明。
いずれにせよ、この廃棄物の発生者とANDRAが出来るだけ迅速にパッケージの特性調査を行うことは、DAC提出の重要な前提条件になるとしている。

 

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