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[米国] テレストリアル社、溶融塩炉の商業化目指しチーム結成

2018年4月19日

カナダを本拠地とするテレストリアル・エナジー社の米国法人(TEUSA社)は3月28日、独自に開発している一体型溶融塩炉(IMSR)の商業化を促進するため、ワシントン州の非営利電気事業者共同機関であるエナジー・ノースウェスト(EN)社と了解覚書を締結したと発表した。
米国内の建設候補地の1つであるアイダホ国立研究所(INL)でIMSRを立地、建設・運転する際の諸条件を取り決めるなど、INLのサイト評価を共同実施するチームの結成が目的。
大幅な低炭素化が急速に進展する様々な産業分野において、コスト面や機能面で有利な革新的原子炉設計のIMSRを2020年代にも市場に売り出すことが可能だとしている。
溶融塩炉は、燃料として溶融塩にトリウムなどを混合した液体を使用。
「第4世代原子力システムに関する国際フォーラム(GIF)」では、国際共同開発が可能な6種の原子炉コンセプトの1つに選定されている。
テレストリアル社の溶融塩炉は小型のモジュール式で、熱出力と電気出力はそれぞれ40万kWと19万kW。
電力のみならず、クリーンで競争力のあるプロセス熱を供給できるという。
同社は2016年1月、IMSRをまずカナダで建設した後、北米その他の市場での売り込みを目指すと発表。
商業用初号機の建設地点をカナダのオンタリオ州にあるカナダ原子力研究所(CNL)サイト内で特定するため、2017年6月からフィージビリティ・スタディを開始した。
カナダの規制要件に対する予備的な適合性評価サービスは2016年から受けており、すでに第1段階が完了している。
TEUSA社も、将来的にIMSRを米国市場で販売するため、認可申請手続を開始したいとの意向を2017年1月に米原子力規制委員会(NRC)に伝えた。
具体的には、2019年後半に設計認証(DC)審査の申請書を提出する方針を明らかにしていた。
今回のEN社との連携についてTEUSA社は、「米国でのIMSR初号機建設に向けて、さらなる一歩が刻まれた」と評価。
米国の北西部地域で相当の経験と知見を有するEN社は、INLにおけるIMSRの商業的成功に大きく寄与するとの認識を示した。
EN社も無炭素電力を供給する大手事業者の1つとして、熱電併給市場を一変させる可能性を秘めたIMSRが、効率的かつクリーンなエネルギー供給を通じて、現地の需要をどのように満たすのか検証したいとの抱負を述べている。
EN社は西海岸北部に位置するワシントン州の地方自治体電気事業者27社で構成されており、INLが立地するアイダホ州とは東の州境を接している。
同社の発電設備は風力や水力、太陽光など多様な構成で、ワシントン州唯一の原子力発電設備であるコロンビア発電所(BWR、120万kW)も同社の所有。
また、ワシントン州南隣のオレゴン州をベースとするニュースケール・パワー社が、同様にINLで建設を予定している同社製・小型モジュール炉(SMR)初号機についても、EN社が運転を担当することになっている。

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