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韓国政府の諮問委員会、脱原子力政策下でも、再処理、高速炉の技術研究を継続へ
2018年4月23日
韓国科学技術情報通信部(MSIT)は4月9日、再処理と高速炉による核燃料サイクル関連研究開発の継続可否を検討した専門家委員会の報告書を公表した。
専門家委員会は、2020年までの間は再処理、高速炉研究ともに2018年と同等の予算を確保した上で継続することや、2020年までの期限で進めている再処理にかかる米韓共同研究の成果も踏まえながら、2020年以降の研究継続は再度検討することを勧告した。
韓国では現在24基の原子炉が運転中であり、現在でも原子力は国内電力需要の約30%(発電電力量ベース、2016年)をまかなっている。また、政権交代前から建設中あるいは計画中であった原子炉5基が今後しゅん工し、順次運転に入る予定である。
一方、国内には約1.4万トン(2015年時点、ウラン換算)の使用済燃料が存在し、各原子力発電所の使用済燃料貯蔵容量は、2026年頃には満杯になることが見込まれるなど、バックエンド対策は課題となりつつある。
2017年5月に誕生した文政権は発足当初、脱原子力政策をとり、今後の新設計画をすべて白紙化するとの方針を打ち出していた。
しかし、政権交代前の国の電源計画に沿って建設前準備を進めてきた新古里5、6号機の建設をめぐっては、建設の中止による経済的社会的影響が甚大になるとして、民意に諮った上でその建設継続可否を決定することとなった。討論型世論調査の手法により進められた民意の確認の結果、2017年10月にはこの世論調査を主導した公論化委員会が建設再開を政府に勧告、政府はこの勧告を受け入れ、建設は継続されることとなった。
また、文政権は、国内では脱原子力政策をとりながらも、国内でのこうした政策変更の激変緩和の意味でも、輸出については事業リスクを厳格に見極め、国益にかなうなら政府を挙げて推進する方針を打ち出している。
今年3月には、2012年にUAEで着工した韓国としては最初の原子力輸出案件であるバラカ原子力発電所1号機(PWR、140万kW)を、当初スケジュールからの大幅の遅延なくしゅん工させた。
なお、バラカ原子力発電所と同設計の欧州版となる「EU-APR」は2017年11月に欧州電力要求(EUR)認証を取得したほか、米国版の「US-APR」は現在、米原子力規制委員会が設計認証審査中であり、韓国は着々と原子炉の海外輸出の基盤を整えている。
このように脱原子力政策の下にあっても、原子力利用に係る諸課題に対しては、天然資源に乏しい韓国の実情や、自国の原子力産業の技術の維持などの課題を踏まえた現実的な意思決定が行われている。
出典:韓国科学技術情報通信部(MSIT)ウェブサイト他
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