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[米国] 議会下院、ユッカマウンテン計画再開に道を拓く法案 可決

2018年6月5日

米国議会の下院本会議は5月10日、ネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済燃料最終処分場計画の維持を目的とする「放射性廃棄物政策法(NWPA)修正法案(H.R.3053号)」を、340対72の圧倒的多数で可決した。
同地での処分場計画は、使用済燃料と高レベル放射性廃棄物(HLW)を処分する最も迅速な道筋であり、同処分場が全面的な認可を受けて廃棄物の受け入れ準備が整うまでは、集中中間貯蔵計画を進めていくとする内容。
ユッカマウンテンで処分場を建設する可能性を維持するために、ネバダ州への財政支援策などを盛り込んでいる。
この問題の審議は今後、上院で行われることになるが、上院では今のところ法案が提出されていない模様。
また、上院議員は概してユッカマウンテン計画の再開よりも、集中中間貯蔵計画を優先しているとの見方もあり、最終的な成立までには紆余曲折が予想されている。
商業用原子力発電所から出る使用済燃料の処分責任は、1982年のNWPAによりエネルギー省(DOE)に義務付けられており、2002年当時のDOE長官は広範な科学技術分析調査に基づき、ユッカマウンテンを最終処分場建設の最適地に特定した。
しかし、B.オバマ政権が2010年にユッカマウンテン処分場計画の打ち切りを決定したのにともない、DOEは2008年に原子力規制委員会(NRC)に提出していた同計画の建設認可申請を撤回。
NRCも、それまでの審査結果から同地はすべての安全規制を100万年にわたり満たせると結論付ける一方、建設認可の審査活動を保留中である。
今回の修正法案は、共和党のJ.シムカス議員が昨年6月に提案していたもので、下院エネルギー・商業対策委員会はすでに同月、この法案を超党派で可決している。
NWPAに修正が必要になった背景として、修正法案は全米39州の121サイトに使用済燃料が留め置かれている事実を指摘。
処分場を立地、建設、操業する資金として、米国民は「放射性廃棄物基金」に400億ドル以上をDOEに払い込んできたにも拘わらず、廃棄物は依然として全米に散在しているとした。
また、「1998年1月までに原子力発電所からの廃棄物引き取りを開始する」という法的義務をDOEが怠っているため、複数の事業者が敷地内貯蔵コストの賠償を求める訴えを連邦政府に対して起こしており、財務省が支払う判決和解金の累計は340億ドルを超える見通しである。
このため、修正法案では主な条項として以下の修正点を提示している。
・当初の意図通りに機能しなくなった「放射性廃棄物基金」のメカニズムを改革し、複数世代にまたがるこのインフラ・プロジェクトでDOEが設備を確実に建設・運転できるよう保証する。
・民間の中間貯蔵施設に使用済燃料を貯蔵する、あるいは発電所敷地外で監視付き回収可能貯蔵する集中貯蔵施設を独自に開発する場合、DOEには連邦政府以外の業者と契約を交わす権限が与えられる。
これらの施設は、NRCの許可に加えて、地元の州政府と自治体および影響を受けるインディアン部族の承認を得なくてはならない。
・中間貯蔵施設や最終処分場など、放射性廃棄物管理システムを受け入れる州への財政支援策に取り組むこととし、地元の関係者は当該修正法が許可した活動の影響緩和に関して、連邦政府と直接関わりを持つことを許可される。
また、DOEはネバダ州の学術機関と優先的に連携し、使用済燃料の将来的な経済的価値を同州のために留保。
使用済燃料とHLWがサイトに到着し次第、ネバダ州に直接資金提供できるようにする。
・ユッカマウンテン最終処分場の許認可において障害が発生する可能性を排除するため、サイトとなる区域を採鉱などの一般利用から永久に除外して接収し、連邦政府所有地として法制に則って利用する。
・中間貯蔵施設や最終処分場への輸送のため、使用済燃料を引き取った時点でDOEはその所有者としての責任を負う。

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