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[ロシア] 国営の原子力総合企業、国際フォーラムで様々な外国企業と連携強化

2018年6月6日

ロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社は2009年以降、世界各国の原子力関係機関・企業を招いた国際原子力フォーラム「アトムエキスポ」を毎年開催しており、10回目となる今年は黒海沿岸のソチで5月14日から16日まで、様々なセッションや大掛かりな展示会を主催した。
この機会に合わせて、同社はハンガリーや中国、フィンランド、イラン、スペインといった原子力開発利用国と原子力発電所関係の連携を強化する覚書を複数締結するとともに、原子力導入前のカザフスタン、チリ、ザンビア、サウジアラビア、キューバ、セルビアなどとは原子力技術の平和利用関係で数多くの協力覚書を締結したことを明らかにしている。
ロスアトム社の国際ネットワーク関係子会社がハンガリー原子力フォーラムと結んだ覚書では、ハンガリー唯一の原子力発電設備であるパクシュ発電所の2期工事を実現させるため、両社間の人的交流と情報交換を一層促進することが明記された。
この増設計画についてロシアは、2014年にエンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約を含む3種類の契約を結んでおり、120万kW級のロシア型PWR(VVER)を2基増設する計画。
今回の覚書により、ハンガリーのサプライヤーも幅広く活用されることになる。
また、中国広核集団有限公司の一部門であるチャイナ・テクノロジー社とは、ロスアトム社傘下のルスアトム自動化管理システム社が原子力発電所の自動化プロセス制御システム(APCS)について、信頼性と経済性、競争力を強化するための協力覚書を締結。
中国では現在、田湾原子力発電所にロシア型PWR(VVER)が2基稼働中、2基建設中だが、これに増設される2基の計画も含めてロシアと中国双方の原子力市場、および第3国において先進的APCS関係の協力プロジェクトを実施するとしている。
フィンランド関係では、同じくロスアトム社傘下の原子力サービス企業であるルスアトム・サービス社が、同国の試験・検査企業であるDEKRA社と品質管理企業のVPO ZAES社と3社間協力覚書を結んだほか、VTTフィンランド技術研究センターと土木エンジニアリングのコンサルティング会社であるSaanio&Riekkola社とも3社間協力覚書を締結した。
協力分野はどちらも原子力インフラと人材育成で、既存の原子力発電所や将来建設する原子力発電所、および原子力研究施設における人的資源の開発・維持が目的。
DEKRA社らとの協力では特に、原子力機器の品質管理や資機材調達関係の人材教育と訓練に力を入れる計画だ。
さらに、旧ソ連時代に15万kWのソ連製高速炉が一時期稼働していたカザフスタンとは、ロスアトム社の科学部門がカザフ国立原子力センターとの協力覚書に調印した。
両国の科学者が核物質や使用済燃料、放射性廃棄物の処理問題を共同で解決することを目指すほか、原子炉の安全性向上や原子燃料の開発と特性改善、試験研究炉の燃料試験についても協力することになる。
ロスアトム社はこのほか、原子力の導入を計画しているチリの原子力委員会および原子力エネルギー委員会と覚書を結んでおり、同国の原子力発電産業で必要になる人材の教育訓練で協力することを約束。
チリの研究炉についても近代化と運転期間延長を図るとしたほか、同国が世界第2位の生産量を誇るリチウムに関して、塩湖かん水からの抽出技術開発に協力するとしている。
また、アフリカ南部ザンビアとの協力では、出力1万kWの多目的研究炉と多目的照射設備を含めた「原子力科学技術センター」を同国に建設するため、ロスアトム社は同国政府と一括請負契約に調印した。
同じくアフリカのスーダンとは、原子力関係の人材育成と原子力に対する好意的な世論形成で同国に協力するため、水資源・灌漑・電力省と枠組合意に向けた覚書を締結したことを明らかにしている。

 

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