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[米国] WH社の事故耐性燃料開発にスペインのウラン公社が協力
2018年6月15日
米エネルギー省(DOE)のプログラムの下でウェスチングハウス(WH)社が実施している事故耐性燃料(ATF)開発に、スペインのウラン公社(ENUSA)が協働で取り組むことになった。
両者が5月25日付けで発表したもので、今後進めていく様々な共同開発プログラム(JDP)を管理する枠組として「協力枠組協定(FCA)」を締結。
FCAを通じて技術面や商業面における両者間のこれまでの連携を強化する考えで、最初のJDPではATFの挙動モデル開発などを実施する。
このため、2019年にも米イリノイ州のバイロン原子力発電所(120万kW級PWR×2基)で、WH社製の革新的ATFである「EnCore」の実証用燃料棒装荷を目指すとしている。
福島第一原子力発電所(1F)事故後、米国では軽水炉燃料の事故耐性強化が注目の的となり、議会はこの目的に資するDOEの燃料・被覆材開発プログラムに、2012会計年度から予算措置を講じた。
10年計画で始まった同プログラムでは、産官学の連携により2022年までに商業炉への先行燃料集合体装荷を実現する方針で、産業界からはGE社、WH社、および仏フラマトム社の3グループが協力している。
第1段階のフィージビリティ・スタディでは、先進的な燃料と被覆材の概念について、経済性や安全性、環境に対する影響等の分析評価、実験室規模の試験を含めて絞り込みを実施。
2016年10月からは第2段階に移行し、許認可の取得が可能なATFの製造と大規模照射試験など、開発・認定関係の活動が始まった。
2022年以降の第3段階ではATFの商業化が計画されており、既存炉や将来の原子炉システムに対してATFの装荷が商業的に行われることになる。
WH社が開発中のATFは、炭化ケイ素材料(SiC)製の被覆管、シリサイド(U3Si2)燃料ペレット――などの概念に基づいており、1Fが経験した一時的な冷却材喪失に対する耐性の大幅強化を狙っている。
ENUSAと同社が実施するJDPでは、燃料製造分野等におけるENUSAの広範な実績や技術能力が活用される予定。
ENUSAはまた、先進的PWR燃料等の開発・供給を目的にWH社と結成していた「欧州燃料グループ(EFG)」の対象市場(スペインを含む西欧)で、「EnCore」の実証プログラムに参加する原子力発電事業者の合意を取り付ける計画だ。
なお、同じDOEプログラムの下で、GE社と日立の合弁企業であるグローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)社は、主にBWR用のATFを開発している。
今年3月には米ジョージア州のE.I.ハッチ原子力発電所1号機(90万kW級BWR)に試験集合体を装荷したほか、2019年にはクリントン原子力発電所(100万kW級BWR)にも装荷予定だと発表。
原子力のさらなる安全性と信頼性の向上に向け、様々な試験を実施するとしている。
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
<参考>[米国] 原子力協会:「早ければ5年後に事故耐性燃料の実用化が可能」(2018年5月16日掲載)
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