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[米国] エネ省、先進的原子炉設計開発に2,400万ドル提供
2018年6月26日
米エネルギー省(DOE)は6月4日、民間セクターにおける先進的原子炉設計の開発を支援するため、10件の技術プロジェクトに対して最大2,400万ドルを支出すると発表した。
省内のエネルギー高等研究計画局(ARPA-E)が昨年10月に起ち上げた新プログラム「モデリング改良型技術革新による原子力技術の先駆的再活性化(MEITNER)」の一環として、一層低コストで安全な新型原子炉設計の実現が可能な革新的技術を特定し、開発することを目的としている。
DOEのR.ペリー長官によると、米国のエネルギー・ミックスにとって原子力は重要な一要素であり、DOEは民間セクターとの連携により、先進的な原子炉設計と技術の開発で米国が最先端の立場を維持できるよう努めていく考え。
ARPA-Eの次世代技術であれば、米国民1人1人に信頼性の高いベースロード電源を提供し続けるとともに、送電網のレジリエンス(一時的な機能停止から回復する力)も改善され、世界的に見ても競争力の高い、技術的優位性を保つ一助になるはずだと強調した。
ARPA-Eは2009年にDOE内に新設された部局で、開発リスクが高すぎて、DOEの他のプログラム部局や産業界では対応困難な革新的エネルギー技術の開発を専門に支援。
基礎研究よりも応用研究を対象としており、リスクが高くても大きな成果が期待できる技術に対して最大2,000万ドル、最長3年間の資金助成を行っている。
DOEは総発電量の約20%を供給している原子力について、国内エネルギー・ミックスの多様化を支える信頼性の高い電源だと評価している。
しかし、既存の原子力発電所が近年、高額な運転・保守費に苦慮していることから、MEITNERの支援プロジェクトでは、そうしたコストの削減と競争力の強化に資する設計や新しい製造プロセス、技術を活用。
安全性の改善を図りつつ、建設コストの削減や運転の自動化も可能な新型設計の開発を支援していくとした。
MEITNERのプロジェクト・チームは具体的に、それぞれの技術概念を発展させるのに必要なモデリングやシミュレーションのための資源をDOEで調達。
DOEおよびDOE傘下の国立研究所に所属する専門家のチームとも、定期的に連携することになる。
支援対象に選定した10プロジェクトのうち、DOEはバージニア州のHolosGen社が開発中の「BOP(原子炉系統以外の部分)を除去した可搬型モジュール式原子炉」を例示した。
負荷追従機能付きの輸送可能なガス冷却炉になる予定で、ガスの膨張エネルギーでタービンを回す「ブレイトン・サイクル・エンジン」に加えて、炉心に直接接続する機器を用いる方式。
プラント建設工事の簡素化により、完成までのコストと時間の縮減を目指すという内容で、DOEからは約230万ドルを提供する。
もう一つは、テネシー州のイエローストーン・エナジー社が開発している「新型原子炉用の反応制御装置」で、溶融塩炉その他の原子炉設計について、受動的安全性の強化とコストの削減を図る新しい制御技術となる。
同技術では、制御棒に埋め込まれた物質が温度の上昇とともに気化。
この蒸気が中性子を捕捉するため、外部から制御できない場合でも炉内の反応率を低下させることが出来るという。
DOEはこの技術開発に対し、約260万ドルを支出する計画である。
【情報提供:一般社団法人日本原子力産業協会】
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